10月18日

 日記を書けなかった理由は分かるだろう。


 番組に出たが、結果は散々で、爪痕を残せなかった。


 そして、一番辛かったのは、安西が所属するコンビ「ビッグサポーター」が爆笑をかっさらったからである。


 俺らがすべったという訳ではなかった。


 ビッグサポーターがウケすぎた。


 初めて、舞台に出て、舞台に出る難しさを感じた。


 でも、相方の田中は満足していた。


 前の相方と別れて、俺と組んだことを至極喜んでいた。


「俺らは結成して、一ヶ月も経ってない。まだまだこれからや。でもそれで、このステージにおることはすごいことやで。」


 確かにそうだ。


 でも、もし俺が安西と組んでいたら...


 失礼なのは重々承知しているが、それでもそのタラレバを考えてしまう。


 今は、田中が居てくれることに感謝しないといけないな。


 そして、ウケなかったのは、俺のネタのせいだ。


 だから、俺は収録から今日まで、漫才のネタを10本、ほぼ寝ずに書いた。


 どれもそこそこ面白いが、満足いくものではない。


 俺はこのままでは終わらない。


 見とけよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る