第6話:太陽から離れ遠くへ行く月

「レイ様申し訳御座いませんがしばらくの間こちらの袋の中に入っていてくれますか?」

私がレイ様の前にて跪くと少しだけ困惑しながらも小さく頷いてくれた。レイ様の小さい御身体を大切に抱えて真っ白い袋の中へ入れる、もはや身分など気にしている場合ではないとにかく太陽から離れ遠くへ行かなければ命は無い。私は覚悟を決めて堂々と建物の正面口から出た。

そこには、10~20人程の武器を構えた太陽の兵が居た。

「月の民の捕虜を1人捕まえた!月の王族の生き残りである者は居なかったぞ!俺は1人先に王国に戻り捕虜を引き渡す」

私が大きな声でそう叫ぶと隊を率いている者と思われる1人が私の前に出てきた。

「ほう…それは出来したぞ。だが、どうやって建物内に入った?」

やはり…一筋縄では行かないか。ただし言葉での戦いは月の民が有利だ。

「建物の裏手に隠された裏口がありましたそこから俺1人で侵入しこの通り捕まえました。」

「そうか…1人で行動することは隊の乱れを生む事になる、なるべく慎むように…良いな?」

「はい!以後気を付けます!」

「よし…それでは、先に行け」

な!…思っていたよりも上手く行き過ぎだ。この者…もしや気づいて?

「失礼します!」

私は、レイ様を抱え月の民の馬の元に向かって走った。馬の元に着くと馬上に乗りとにかく遠くへと目的地もなく走らせたのだった。

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2つの指輪 黒鏡 しく @kokukyousiku

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