解答

俺は目が醒めた。死んだはずではと思い、辺りを見回すと俺の部屋だった。異世界転生でもしたかと思ったがそんなことはなさそうだ。スマホで日時を確認すると俺が死ぬ日の朝だった。

もう一度だけチャンスが貰えたのだろうか。

あの視線の正体が分かれば、あの影が何者か分かれば、俺は死なずに済む。そう思った。

答え合わせをするために、俺はあの日を繰り返す。


明るい声で話しかける幼馴染み、教室の視界の端で眠っているクラスメイト、いつも優しい新任の教師、真面目で仕事熱心な父…

怪しいのは…。



彼らは俺を四六時中観察する理由も暇もない。アリバイがあり明らかに不可能な時間帯もある。どんな時間、どんな場所でも俺を見つめることができるのは…。



「俺自身だったんだな」

いや正確には俺の影というべきだろうか。

俺は自分の影に向かってナイフを突き立てる。俺の影だったものは徐々に本物の人間のようになっていく。俺によく似た姿だ。

「オレハドッペルゲンガーダ。オマエヲコロシ、オマエニナリスマシテヤロウトオモッテイタ。ダカラズットミテイタノニ…。トウトウキヅキヤガッタカ」

やがてそいつは姿を消した。そして俺は無事に0時を迎えたのだった。


俺は一度目の今日、自分の分身に殺されたのだ。だが、こいつが俺に成り代わっていたので周りの人は俺の死には気付かず数日過ごしていたらしい。

様子がおかしいことに気がついていた人もいたみたいだが。

本物の俺の死体は母に見つかったが、分身の俺はピンピンとしていたのでパニックになったようだ。

俺は俺自身にずっと追われていた。

追い付かれることはないが引き離すこともできない距離で。

光がある限り、動く者は生涯自分の影に追いかけられる。生涯逃げ続けている。

今日あなたの後ろに付いている影は本当にただのですか。





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誰かが俺を狙っている。 @mochimochimaru

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