第7話 御襁褓不要
編集者の「も少しかだれへ」に甘えて今月の繰り言は御経を唱えるように!
「な~む~お~む~つ~ふ~よ~」
タイトルは相当な難字だ。
ころも偏に〈強〉は「む」で〈保〉は「つ」だから、御襁褓は「おむつ」と読む。
○「南無御襁褓不要」と唱へ最期まで生活意欲の増進あらまほし
老健カルモナでは、御襁褓不要の願いを込めて、プロジェクトDF(Diaper
Freeの略)と命名した。
「排泄優先の原則」がモットーだ。
本来〈排泄〉とは「待ったなし!」の生理現象であり、食事や入浴のケアとは違う。
しかも失敗は生活意欲を大きく削ぐ。
「知られたくない」は当然の心理である。
「汚した下着を隠す」や「汚れたオムツを外す」なども当然の行動だろう。
○老いはてて惚けはどんどん進めども喜怒哀楽は枯渇せずとふ
カンファレンスや回診では「この点をキチンと理解して高齢者のケアを心掛けましょう」と繰り返している。
「排泄の失敗などは、さりげなく受け止めましょう」も徹底する。
そもそも人間にとって生活動作の基本は二足歩行である。
たとえオムツが必要な状態でも、排便やオムツ替えをトイレでするケアは生活意欲を増強する。
寝たままオムツに排泄させる介護では高齢者の尊厳を奪ってしまう。
さらに、尿路感染症(や女性の子宮溜膿症)を起こしやすい。エコー検査では、膀胱に沈殿する澱や残尿を確認できる。
これらの予防として、寝ている骨盤を立てることが介護のポイントだ。
介護用ベッドを起こす際も、お尻をベッドの曲がる位置へ合わせることは必須である。
骨盤と背中を曲げずに起こそう。
いつか来る。
きっと来る。
その日に向けて、皆さん御一緒に!
「南無御襁褓不要」と三回。
(20200501)
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