4話~鬼と人~

「桐崎 王雅……?」

私は鬼の王子をみてポーっとしてしまった。

そのときグイッと誰かに抱き寄せられた。

「飛雅様!」

飛雅様は私を自分のところに引き寄せた。力が強くて引き離すことができなかった。

「へぇ~俺に対してそんな態度とっていいの?」

「飛雅様!離して!」

「鬼の王子よ、茶々に触れるんじゃない」

二人の間にバチバチと火花が散らされている。これはまずい……!両国の仲が悪くなっちゃう……!両国の王族はみんなどっかにいってるし……

「俺はこの茶々殿と話をしたいんだけどなぁ~」

「茶々はゆずりません。」

「そういうことするなら秋の国への輸出減らしちゃうよ~?」

「くっ……!」

私はとっさに

「分かりました!桐崎様お話しましょ!」

そのとき鬼の王子が私を見てニヤッとした。












「それで話とはなんですか?」

私と鬼の王子は秋の国のお祭りで屋台を歩きまわっている。鬼の王子は周囲から注目を浴びていて正直歩きづらい。

見た感じ想像してた鬼とは違って角は生えてないし怖いって感じはしない。顔立ちもよくて女子から好かれそう。

鬼の王子が私を見て

「そなた……」

「?」

「そなた、俺の嫁になってくれぬか?」

「え?……えーー!?」

と私は叫び、周りがこちらを見たのでとっさに口を閉じた。鬼の王子のほうをみるとクスクス笑っている。

「桐崎様!からかわないで下さい!」

私は顔を真っ赤にし、鬼の王子に対して背中を向けた。

鬼の王子は私を後ろから抱きしめ

「俺は本気だ。」

と耳元で囁いてきて私は胸をときめかせてしまった。いざ真面目に言われると恥ずかしい……!私が鬼の王子のほうを振り向くと鬼の王子はとても真剣な顔をしていた。

私は息がつまってなにも言えなかった。

突然鬼の王子は私をお姫様抱っこし

ジャンプして街頭の上に上り、次は家の屋根まで上がりある方向に向かって走った。

「そなたは可愛すぎる。お持ち帰りだぁ〜!!」

「きゃー!!」

「あはは!!」

私は泣きながら必死に鬼の王子につかまった。

鬼の王子の笑い声は夕焼けの綺麗な空に吸い込まれていった。

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