3話~君は綺麗だ〜

あの声誰だったんだろう……

結局周りには誰もいなかった。あのあと神社で舞の練習してる間も声の主のことを考えていた。

それにわけもわからず涙も出たし……

飛雅様には申し訳なかったけど今日は帰ってもらった。

今度お詫びしなきゃ……





私は布団を頭まで被った。















「あやつ、邪魔だな……」

俺は寝ている茶々の寝顔を見ながらそうつぶやいた。

実は茶々が聞いた音は俺にも聞こえていた。あの音はまさしく鬼神の耳飾りの鈴。

茶々の頭をなでると茶々は寝ぼけているのか俺の手にすりよってきてふにゃっと笑った。

「お前は俺のものだ……どこにも行かないで俺のところにいてくれ」

茶々の髪に口づけし俺はその場を離れた。















あれからだいぶ月日がたって気づけば祭りの日

あの日から飛雅様はぱったりと来なくなった。多分責務に追われているのだろう。

今日こそ飛雅様に謝らなくては……

「茶々~もうそろそろ衣装の着替えお願いします~!化粧もしますよ~」

「はーい」

私は鬼神の舞のため城で衣装の着付けと化粧をすることになっている。

すべて飛雅様のお母さまがやってくれる。これは秋の国のしきたりとなっている。

代々王の妻が鬼の舞の衣装からおめかしを鬼の舞をするものにいろいろと準備をしてくれる。

王妃が今回用意してくれた衣装には白の巫女袴にところどころ花の飾りがついていて髪はみつあみでいろいろな箇所にもはながついていて耳には鬼神の鈴がついている。

そして丁寧に化粧もしてもらい

「完成!茶々は素材がいいからやりがいがあるわ~」

「ありがとうございます!王妃。」

「がんばってきてね!」

私は今回舞を舞う秋の国と鬼の国の境目にある大広間に向かった。









「ここでやるのか~!緊張するな……」

両国の王族もいるし、いっぱい人いるし……

私は大広間の中央に立っている。今から舞を披露するのだ。

秋の国の王族がいるほうを見ると王妃様と王様がこちらに気づき

「がんばって」といってくれたように微笑んでくれた。飛雅様は私と目が合うと手をふってくれた。

私は深呼吸し舞を踊った。















「なんと綺麗な舞じゃ……!今までみてきたなかで一番綺麗じゃ!」

鬼の王がそう発言した。たしかに茶々の舞は本当に綺麗だ。

見るものすべて虜にするような……

「飛雅、茶々のこと見すぎですよ」

「母上、からかわないでください。」

母上は俺をみるとクスクスと笑った。俺は顔を真っ赤にした。

「あの方舞だけでなく姿も綺麗だ」

そこに現れたのは

「ご無沙汰しています。鬼の国の王子。」

「これはこれは秋の国の王子の飛雅殿。お久しぶりですね。」

俺が最も嫌いな鬼……
















私は舞を踊り終えた。礼をして顔を上げるとみんなが笑顔で拍手してくれた。

踊り終えた私はそのまま両国王族のところへ挨拶に向かおうとしたとき誰かが私の背中にドンっとぶつかり私は地面に倒れそうになった。

そのときチリリンと音がして顔をあげるとそこには一人の男性が私を受け止め

「相変わらず危なっかしいなぁ」

「その声……!」

そこには私が聞いたことがある声の持ち主

「失礼。俺は鬼の国の王子の桐崎 王雅きりさき おうがだ。」

鬼の国の王子がいた。


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