告白〜それは知らぬところからくるから衝撃なのだ〜

今日の学校での空気は少し重い感じがした。

放課後のことを考えると胃がキリキリとして痛い。


「おいおい、どうしたんだよそんな顔してよ。」


こいつはいつも元気でいいよな。

また惚気でも話すのかよ。


昼休みでもその元気は変わらず仁は俺に話しかけてくる。


「いや別に嫌なことがあったとかじゃないけどよ。少しなんか嫌な予感がするというか。」


「まぁあんまり気にしすぎるなよ?お前にだっていい人ぐらい現れるって。」


別に俺はお前に恋愛相談した訳じゃねぇよ。


「まぁありがとうな。」



放課後になると俺の心は砕けそうだった。

確かに2人では遊んだけど、こうなんか悪いことしてる感じがして心が痛い。


俺は少し渡り廊下を行ったり来たりして少し気持ちを落ち着かせる。


「あぁもう考えててもあれだ。行くか。」


俺は気持ちを奮い立たせて屋上へのはしごを登る。


「あなたがどうしているの!」


上から葛原さんの叫び声がする。


おいおい、こんな屋上で揉め事がおこるようなことあるか?


「お、やっと来たね。少し私の見込みより遅いよ〜早くしてよ。」


俺が屋上で見たのは葛原さん、そして…


「君は確か…誰だっけ?」


「いやいや酷いなぁ。同じクラスなのに覚えられてないのは悲しいなぁ。私の名前は川崎恵那。委員長のお友達でパパ活を進めた人って言ったらわかるかな?それともこの間のカラオケの店の店員って言った方が2人に見に覚えがあるかな?」


思い出した!あの時俺が葛原さんとここで会う約束をしてる時に受付で聞いてたのか。


「話を盗み聞きしてたのか?」


「まぁそういうことになるね。でも元々2人とは話そうと思ってたんだよ。というか特に落合くんだね。私の計画むちゃくちゃにしてさ。」


「計画、?何の話だよ。」


計画なんて初耳だし俺が何をしたってんだ。名前も覚えてない相手に。


「今日朝1番に委員長なんて言ったと思う?もうパパ活やめる、だよ。笑わせるなよ。お前が下手に人間になんか戻すから委員長は苦しんでるんだよ。」


「そんなことない。委員長は、委員長は必死にお金のためにパパ活を仕方なくやってたんだ。」


「そうやって言うしか自分の気持ちを騙せなかっただけだよ。委員長嘘下手くそだからさ、ちょっと鎌かければすぐにセックスにハマったことくらいわかったよ。」


「おい、それって元々セックスさせる気だったってことかよ。」


なんなんだよこいつ。人を自分の実験道具みたいに扱いやがって。


「人間なんて汚らしいんだよ、ほんとによぉ。」


川崎さんは叫ぶ。


「綺麗事ばっかで群れてなきゃ意見も言えない。何が体目的じゃねぇだよ。ふざけんなよ。結局好きなやつには喘ぐじゃねぇか。生き物の生き方ってのは性の保存なんだよ。それを自分は人間だからって綺麗ぶろうとしてんだよ。」


「何言ってんだよ。まじで。」


「その点葛原さんは美しかった。自分の欲求に忠実に生きていた。私はそんな葛原さんに憧れて神のように崇めていた…なのに、なのによお、お前だよ。全部全部落合!お前が狂わせたんだよ。」


俺の胸ぐらをつかみながら叫ぶ川崎さん。

俺の顔に唾がすごくかかる。


「お前がこの美しい生物たちを壊したんだよ。汚したんだよ。私の理想の生活を、世界を生み出したのに。私のテリトリーを、私の理想を壊すなよォ!」


俺はそこで何かがプツンッと切れた感じがした。

俺は言葉が出るよりも先に手が出ていた。


「ふざけんじゃねぇよ!お前の価値観を勝手に押し付けんなよ。葛原さんも委員長も必死に自分を変えたくて、治したくて、どうにかしたくてそれでも怖いけど、1歩踏み出して変わろうとしてるじゃねぇか。」


葛原さんは俺の後ろで少し怯えたような表情で俺の事を見ている。それでも続ける。


「いいじゃねぇか人間でいたってよぉ。生き物の運命なんて知ってたまるか。お前の理屈なんて俺が全部壊してやるよ。」


「バカみたい、バカみたいじゃん。私が!」


彼女はそう言い残し屋上から立ち去る。


「ねぇ、怖かったんだけど。」


「ごめん、俺の柄じゃないね。」


「でも、かっこよかったよ。」


気づいた時には俺の唇は葛原さんに奪われていた。


「ンッ」


「お礼だよ。男の子はこうすると喜ぶ。」


「お、俺たちってただの友達ですよね、?」


「そのうちその気にさせるから。」


「結構惚れちゃいますよ?こんなことさせたら。」


「曖昧な感情じゃ私許さないから。」


その日からの日常は少しだけ変わっていた。


「葛原さん!少し近づきすぎではないですか?」


「いやいや委員長ちゃん。こうした方が男の子は喜ぶんだよぉ。」


「そ、そうなんですか?」


葛原さんと委員長がすごい俺に絡んでくる。

それから川崎さんは委員長からも距離を置かれて完全に孤立している形になる。


「ねぇ落合くん、ありがとう。」


「落合くんありがとうございます。」


「べ、別に普通のことしただけだよ。」


俺の日常はこれから静かにならなそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

性よ混じれや乙女よ進め 九十九語 矢一 @Alice__0420

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ