第18話  カッコイイ魔法使い剣士の刺客

「クライヴ・ロゥです。」


 長身で細マッチョ、しかもイケメンですわ。

 明るい金髪と碧い瞳も、もろ好みでしたわ。


 彼はあたくしが募った、刺客の応募にきた剣士です。

 魔法が使えるというので、会ってみることにしたのですけど……

 この男身体からお酒の匂いがプンプンしました。


「お若いのね!?いくつかしら」


「22歳です」


 クライヴは少し離れた所に、膝を折って控えておりましたわ。


 うっ!!好みのイケメンですわ!!

 ああ……エドワゥのこと等、どうでも良くなりますわ。

 でも、でも、あたくしの利用した二人の事を許せるわけはありません!!


「本当に、二人を殺めるのに最高金貨4枚でよろしいの?」


「僕にはそんなに難しいことではないからですよ。そして、僕にはお金がいるんです!!」


 クライヴは真剣な顔で言いましたわ。


「お金に困ってらっしゃるの!?」


「はい……」


 あら、今度は歯切れが悪くなってしまいましたわ。


「実は……子供が生まれるんです……馴染みの娼婦に僕の子が……」


 あたくしは、耳を疑いましたわ。

 娼婦!?娼婦に自分の子を生ませる!?

 どういうことですの!!?


「娼婦の子は、あなたの子供だとは限らないのではなくて?」


「いえ、間違えなく僕の子です!!」


 クライヴは即答しましたわ。

 何だか、一途で面白みのない人。

 今夜を共に過ごしてから、見送ろうと思いましたのに。


「……で、あてはあるのですか?」


 クライヴは極上の笑顔で頷きました。


「風の精霊に行方を追わせてます。明日の朝までには、分かるでしょう」


 あたくしは驚愕しましたわ。

 あたくしの大嫌いな神殿の回し者だったのかしら……


「そう言えば聞いてなかったわね……お前の主の名を」


「今は、お嬢様ですよ。あっ!!僕を神殿所属の魔法使いと思いましたか?

 違います。僕は、はぐれ魔法使いで剣士です。娼館を宿代わりにしているような」


 ……とこれまた極上の笑みで答えるクライヴでしたわ。


「お願いしますわ」


 あたくしは冷ややかに言いました。



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