No.2 告白×2

「先輩、私と付き合え!」

「いや、私と付き合ってください」

「…………はい?」

 いきなりの告白に思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

 しかし、目の前にいる少女達は真剣そのもので冗談を言っているようにも思えない。

「えっと2人共本気で言ってるのか、爽風さやか寧々ねね?」

「はい! 私は本気ですよ!」

「わ、私だってそうだよ! 大体、私は昔から先輩の事が好きだったんだよ! でも、先輩はそんな私の気持ちにも気付かないで……」

「あー、そうか、うん。それは悪かったと思ってる。ごめんな」

「……ふん、別に謝って欲しいわけじゃないし。まぁ、いいけどさ」

 2人の想いを知った上で改めて考えるが、やはりどちらを選ぶべきか分からない。

 どちらか一方を選ぶと言う事はもう一方を傷つける事になってしまうからだ。

 だが、そんな俺の考えを見透かすかのように2人は口を開く。

「ねぇ、先輩? これはあくまでも私達が勝手にやってることだから先輩が気にする必要なんて無いんだよ」

「そうですよ。そもそも私が二人同時に告白しようなんて言ったから……」

「大丈夫、寧々ちゃんは悪くないから」

「ちょっと俺の前で百合百合するのやめてもらっていい?」

 なんかもう俺かどっちかが付き合うより、お前らが百合カップル作ったほうがいい気がするんだが?

「で、先輩!どっちを選ぶんだ?」

「そうですよ、先輩。決めてくださいよ……」

「う、うう……」

 後ろにたじろぐ俺に更に距離を詰めてくる二人。

 そして俺は逃げ場を失い……。

「先輩!」

「先輩」

「「どっちか選んで!!」」

 二人の叫び声が道に響き渡った。

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何書いてるんだろうな…… 田中山 @tanakasandesuyo

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