第5話 参上

 身長三十センチくらい、小太りで羽が生えている。何より全身が虹色、パチンコで言うなら激アツキャラである。

 そんな得体も知れない生物が、倒れ込んでいた僕の目の前に今立っている。


 何が起こっているのか理解ができない。

 僕はすぐに頭の中を整理する。

 「ああ、そうだ! 」

 と授業中に時計の針が止まったことを思い出し、なんらかの原因で時間が止まり、授業が永久に続いている状況だと理解した。


 どうにかしてこの授業を止めなければならない。いや、止めたい。(自分のためにのであるのだが…… )


 「いやー、久しぶりの人間界でゴンスなー」

 虹色の物体が何やら一人ぶつぶつと話している。


 「大丈夫でゴンスかー?? 」

 僕の方を向き話しかけてきた。


 「えーと、君というかあなたというかなんというか…… 日本語わかるの? 」

 もうどこから何を聞いていいのかわからないが話しかけてみる。


 「お、お前が俺の主人でゴンスか? 日本語ワカリマスよー。 てか、ん、ん……お前本当にに小学生でゴンスか? 」

 この物体からは僕を舐めているような変な余裕さを感じさせる」


 「まあ、詳しい話は後からでいいでゴンスか? 確認ですが、お前の願いはこの授業を止めることで間違いないでゴンスね? 」


 「あ、あーまあ、そんな感じかな」


 「よし、了解でゴンスよ」

 

 「了解って今から何する気? 」

 

 「お前は黙って見てるでいいでゴンス! 」

 虹色の物体はみるみるうちに青色になっていく。胸元から頭、手足の指先にかけて鮮やかな青へと変貌していく。

 

 そして、大きく息を吸い込み、体をどんどん膨らませ、その吸い込んだ空気を先生に吹きかけたのである。

 先生はたちまち吹き飛ぶかと思いきや髪の毛とスカートはなびいたが、体は吹き飛ばなかった。


 「終わったでゴンスよ」

 歯を見せ清々しい顔をして僕を見てくる。


 「何をしたんだ? 君は…… 」

 言葉が見つからない。

 なぜなら、もう二時間目の授業になっていたからだ。


 

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一つ聞きたいことがあります…… 僕の運は何に使えばいいですか? 妖精にもらった運で最強になってしまいました。 すいかのたね @jijjijijijijijij

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