第三十二話 ハカマ・ウォーリアー! 4

 ギルドにて——

「はい。今回の調査ありがとうございます。どうやらウォーリアーのボス個体は、前のボスを倒した狩人をコピーする性質があるようです。そうやって強くなろうとしているんですね」

 受付のお姉さんが依頼書にクリア用の印鑑を押しながら、帰還した僕とお姉ちゃんに言った。

「そして、コピー先の狩人が自らのコピーを倒す、つまり、今回でいうヒイロさんをコピーしたハカマ・ウォーリアーをヒイロさんご自身が倒すことで、しばらくボス個体は出てこないようになるそうです——どうぞ、こちら特別報酬です」

 ヒイロお姉ちゃんが報酬を受け取り、やったね、ランくん、みたいな表情で僕に笑いかけてくれた。

「じゃあ、またそのうち出てくるかも、ってことですか?」

 お姉ちゃんが訊く。

「そうだと思います。ですが、通常の狩人の方をコピーしたボス個体はずいぶん前からいたようで、それを別の狩人が倒す、そのコピーを別の狩人が……、とあまり影響はありませんでした」

「あ、それでスティードが……」

「そうですね。私たちもウォーリアーの性質を知らないまま『マッスル・ウィズダム』ことスティードさんがウォーリアーの個体数管理の依頼に行ってしまい、それをコピーしたウォーリアーがとても強くなってしまったようです。ですから、この先、ヒイロさんやスティードさんレベルの狩人をコピーされなければ、大丈夫だと思いますよ」

「そっかー。——よしっ、じゃあ、また何かあったら声かけてください。ランくん、いこっか」

 お姉ちゃんはそう言って、いつもの二階席の方へ足先を向ける。

 僕も続こうとして、受付のお姉さんに礼をすると、お姉さんは微笑みながら指をそろえた右手を軽く振ってくれた。


「あ! 溜まったよ!」

 依頼後、狩人免許ハンターライセンスを見ると、僕が取得しようと思っていたスキルに必要なポイントが溜まっていた。

 ハカマ・ウォーリアーと戦ったときの経験値かな。

「お、どんなスキルが取れるの?」

 お姉ちゃんがカードを覗き込みながら言う。

「回復スキルだよ。ほら、僕、最初に〈ローリング・オーバー〉を取っちゃったから、やっと回復できるようになるよ」

 中級のSSサポートスキル〈キュアーヒール〉を獲得できる。

「すごいなぁ……。これでランくんも一人前のサポーターになっちゃったね。よしっ、今夜は日暮れの見回りが終わったらお祝いしよっか!」

 お姉ちゃんが、ぱんっ、と胸の前で手を叩いて、

「うん。楽しみにしてるね」

 僕が言うと、頭の上に手のひらを優しく載せてくれた。



——————————


ラン   US〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉

     SS〈ローリング・オーバー〉……味方の攻撃力と防御力を反転させる。もう一度使用すると元に戻る。

     SS 〈キュアーヒール〉……中級回復スキル。

     AS〈ソード・アタック〉……低威力技。



ヒイロ  『陽暮』

     US〈相手と対峙した時、防御力がほんの少し上昇〉

     TS〈リフレクション〉……ジャストタイミングで使用することで、近接攻撃を無効にし、二倍の威力にして相手に返す。

     AS〈ソード・アタック〉……低威力技。

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