第二十七話 ウォーリアー! 3
【ウォーリアーを標的とした】
洞窟の前でうろうろしていた(おそらく見張り)のウォーリアー二体を標的にして、お姉ちゃんが太刀を引き抜いた。
僕も直剣を構える。
お姉ちゃんの身体が金色に輝き、ウォーリアーを青い光が包む。
〈相手と対峙した時、防御力がほんの少し上昇〉
〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉
相手は短剣を持った小さな人型の魔物。
僕らふたりを相手にしても、ぐあーっと、威嚇してくる。
ちょっと、かわいい……。
「よし、こいつを倒さないと洞窟に入れないみたい。ちゃっちゃとやっつけちゃおう! ランくん」
「うん」
〈ローリング・オーバー〉
僕の手が白く輝いて、その光がお姉ちゃんの周りを包み込む。
味方の攻撃力と防御力を反転させるスキル。
これでお姉ちゃんのとんでもなく高い防御力がそのまま攻撃力になる。
「いくよっ! くらえ、超高火力っ!」
〈ソード・アタック〉
「——————」
ヒイロお姉ちゃんの刀が一閃し、ウォーリアーを斬った。
【ウォーリアーに勝利した】
「これで一体、と」
お姉ちゃんが太刀を納めて、パンパンと、両手をはらった。
「うん。ほんとに弱かったね。これなら僕ひとりでも勝てるかな」
えっと、討伐数は数えてって言われてたからどこかにメモをとらないと。
あれ——?
一体……?
「ね、お姉ちゃん。洞窟の前にいたウォーリアーって二体じゃなかったっけ?」
「あ、うん。見張りだからね。一体が相手してる間にもう一体が洞窟に知らせに行ったんだよ」
「え、じゃあ、もう洞窟の中は警戒されてるってこと?」
「だと思うよ。でも今回は調査だからね。ウォーリアーがどうでるのか、確認するのが大事だよ。じゃ、早速入ろう!」
お姉ちゃんがずかずかと洞窟の中に入っていく。
「ね、ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だって。危なかったら逃げればいいし、ほら、負けちゃったっていう狩人もみんな帰ってきてるからやられてるわけではないよ」
明るい外の光を背中で受けながら、さっきの馬車が入れそうなほどの大きさの洞窟を進んでいく。
外からは聞こえなかったけど、奥の闇の方からは、きゃあきゃあ、と魔物の鳴き声が聞こえてくる、ような気がする……。
ぽた、ぽたん、と、湿った岩から、水滴が垂れている。
どこか肌寒く感じるようになってきた。
すると、少しずつ弱い明かりが見えてきて、それに僕らが照らされるくらいになると、洞窟の壁に火が灯った松明が掛けてあるのがわかった。
弱く、ゆらゆらと、燃えている。
ウォーリアーは炎も使えるのかと、少しだけ感心していると——
「あれ?」
ヒイロお姉ちゃんが足を止めた。
「ど、どうしたの?」
「おかしいな。たしかこのあたりにも見張りがいたはずなんだけど……」
ヒイロお姉ちゃんは右手の人差し指と親指を立てて顎に置き、眉を顰めている。
と——
ズシン。
「!」
洞窟が揺れた。
「何、今の……?」
「まって。ランくん、構えて」
と、お姉ちゃんが太刀に手を掛けて、腰を落とした。
僕もそれに倣って、直剣を引き抜く。
足音だ。
ズシン、ズシン。
何か大きなものが近づいてくる!
ぐっと、ふたりで寄って、備えようとすると——
ついに壁の松明が、それを照らした。
最初に足が見え、徐々にその姿が明らかになっていく。
そして、炎に照らされたのは——
筋肉むきむきのウォーリアーだった。
——————————
ラン US〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉
SS〈ローリング・オーバー〉……味方の攻撃力と防御力を反転させる。もう一度使用すると元に戻る。
AS〈ソード・アタック〉……低威力技。
ヒイロ 『陽暮』
US〈相手と対峙した時、防御力がほんの少し上昇〉
TS〈リフレクション〉……ジャストタイミングで使用することで、近接攻撃を無効にし、二倍の威力にして相手に返す。
AS〈ソード・アタック〉……低威力技。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます