第二十三話 感謝したい! 1

 この前の『白夜』・テューの一件を後始末を終わらせて。

 僕とヒイロお姉ちゃんはいつものギルドの二階席で、一息ついている。

「なんで私たちが……」

 お姉ちゃんが頬杖をついた。

 テューの件以来、お姉ちゃんはずっとこんな感じで唇を尖らせて、むすっと機嫌が悪そうな顔をしている。

 ルヴィンさんのことはもちろんだけど、お姉ちゃんを止めた僕のことも納得がいってないみたい……。

 ちょっとだけ気まずい……。

「で、でも、ほら、やっぱり……、諸々の申請をルヴィンさんがしたくないって気持ちもさ、わかるよ、ね……?」

「わかんない」

 むすっ。

「自分のことでしょ。あとは頼むっておかしいでしょ」

「でも……、昔はいっしょにお仕事してた人だったわけだし……」

「だったら、なんで尚更……。男って、ほんとにわかんない」

 ……、そのにはルヴィンさんだけじゃなくて、スティードさんとか僕も含まれてるんだろうな……。

 この前、ルヴィンさんを守ろうとしたお姉ちゃんを止めたわけだし……。


 と——

 ことん、ことん、と、硬いブーツで木製の階段を登ってくる音が聞こえてきた。

 このブーツの音は……。

「あ……」

「よ」

 お姉ちゃんの不機嫌の根源、ルヴィンさん登場。

 こっちの空気も知らないで、いつもと変わらない様子で僕の頭に手のひらを載せてきた。

「なに?」

 ヒイロお姉ちゃんがじとっ、と目を細めて、ルヴィンさんに訊く。

「ヒイロ、お前このあとの仕事は?」

 お姉ちゃんはなんでそんなこと訊くの、って言いたそうに顔をしかめて。

「今日はあなたの後始末があったから、日暮に見回りするくらいだけど——」

「じゃあ、ちょっとラン借りるぞ」

 と、ルヴィンさんが僕の頭を軽くぽん、と叩いた。

「え、僕?」

「ああ、ランってお前以外にいないだろ。ヒイロ、いいか?」

「別にいいけど……、どうして?」

 眉根を寄せたお姉ちゃんが訊くと、ルヴィンさんは火の点いていないタバコを咥えて、

「男同士の、ってやつだ」

 と言った。

 むすっ。

 ねえ、それ、今一番お姉ちゃんが納得してないやつ……。



——————————


ラン   US〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉

     SS〈ローリング・オーバー〉……味方の攻撃力と防御力を反転させる。もう一度使用すると元に戻る。

     AS〈ソード・アタック〉……低威力技。



ヒイロ  『陽暮』

     US〈相手と対峙した時、防御力がほんの少し上昇〉

     TS〈リフレクション〉……ジャストタイミングで使用することで、近接攻撃を無効にし、二倍の威力にして相手に返す。

     AS〈ソード・アタック〉……低威力技。



ルヴィン 『クリティカルガンマン』

     US〈クリティカルの発生率・クリティカル時の威力が上昇〉

     AS〈クイック・ショット〉……三連射。クリティカルしやすい。

     AS〈ライナー〉……必中。クリティカルしやすい。

     AS〈インストゥル・バースト〉……近距離で発動するほど威力上昇。

     EVS《イクスパンション・スターマイン》……〈クイック・ショット〉が進化。膨張する弾丸が相手を包み、爆ぜる。

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