第二十二話 過去を貫く弾丸4

「よかった……」

 お姉ちゃんが安堵したのか、両手で胸を包み込むようにして、呟いた。


 ルヴィンさんは、息も絶え絶えなテューの方へ向かっていく。

 テューは声も出ないようで、肩を大きく揺らしながら、ルヴィンさんを見上げ、睨んでいる。

「いいか、テュー」

 テューの目の前で立ち止まった。

「同じスキルを打ち合うなら、俺のUSユニークスキルの方が強え」

「……」

「それと、お前にどうしても言いたいことがあるんだ」

 と、そう言うと、ルヴィンさんは——

 銃を、テューの額に向けた。

「え?」

 一瞬、お姉ちゃんの息が止まる。

「あのとき逃げて……、……すまなかった」

 銃声が、響いた。


「ねえ、なんで……? なんで、打ったの?」

 倒れたテューを一瞥し、目を見開いたヒイロお姉ちゃんが訊いた。

 唇が少し、震えている。

「『白夜』の指名手配犯は生死を問わない」

「そんなことじゃないよ!」

 お姉ちゃんは両手の拳を握り締めながら、下を向いて怒鳴った。

「殺す必要がないじゃない! 悪い人だけど、悪い人だけど……!」

「どうせ死罪だ」

「違うってば! もとはといえば、ルヴィンが逃げたから——あっ、……いや……、……、……その、……」

「いいよ。ヒイロの言うとおりだ。だけど——」

 ルヴィンさんは右手に持つ銃に、視線を落とした。

「——まともに生きている人間が笑われる世の中なんて、……間違ってるよ」



——————————


ルヴィン 『クリティカルガンマン』

     US〈クリティカルの発生率・クリティカル時の威力が上昇〉

     AS〈クイック・ショット〉……三連射。クリティカルしやすい。

     AS〈ライナー〉……必中。クリティカルしやすい。

     AS〈インストゥル・バースト〉……近距離で発動するほど威力上昇。

     EVS《イクスパンション・スターマイン》……〈クイック・ショット〉が進化。膨張する弾丸が相手を包み、爆ぜる。

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