第五話 クリティカルガンマン・ルヴィン登場2

【ルヴィンに標的にされた】


「おい、こんなところでおっぱじめやがったぞ」

「町の外でやれー! 外で!」

 商店のおじさんたちが騒ぎ出した。


「ランくんとのせっかくのデートをジャマして……」

 お姉ちゃんが太刀を引き抜いて、構える。

 身体が煌々と輝き、USユニークスキルが発動。

〈相手と対峙した時、防御力がほんの少し上昇〉

「ふん。やっとやる気になったか」

 男性も銃を構え、身体が光る。

 相手のUSが発動した……。

 どんなスキルなんだろう。

「お姉ちゃん、みんな見てるし、早く終わらせちゃおう」

「そうだね。早くデートに戻らないと」

 僕も直剣を抜く。

 身体が光り、相手が青色の暗い光で包まれた。

〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉

「ん? おい、ちびの方。USで何かしやがったな。……まあ、いい。まずは、お前からだ」

 銃口が僕の方を向く。

「ちょっと、ランくんは関係ないんでしょ!」

「そのちびサポーターだろ。支援役から潰すのはメジャーな戦法だぜ」

〈クイック・ショット〉

 ドドドン。

「うわぁ!」

 ヒュン、ヒュン、ヒュン。

 三発の弾丸が僕の脇をすり抜ける。

 危ない……。

 これが銃のASアタッカースキル……。

「ん……? おかしい」

 相手は眉を顰めていた。

「〈クイック・ショット〉の命中率は低くない。三発すべてが外れることなんてないはずだが……」

 僕のUSで命中率が下がっている。

 マッスルツリーで得たステータスポイントもAGLに振っておいて正解だったかな。

「なるほどな。じゃあ、これでどうだ?」

〈ライナー〉

 ドン。

 これも、さっきみたいに避ければ……。

 ——っ!

「ぐえっ!」

【Critical】

 相手の身体が一瞬光った。

「ランくん!!」

 地面に転がった僕のところへヒイロお姉ちゃんが駆けつけてきた。

「大丈夫!? ランくん!?」

「痛てて……。大丈夫だけど、今の攻撃だけでだいぶ削れちゃった……」

 もう少しVITにもバランス良く振った方がよかったかも。

「〈ライナー〉は必中だ。火力は乏しいが、クリティカルが出ればそれくらい削れるだろ。命中率を下げるUSだか何だか知らないが、それ以上痛い目に遭いたくなければちびは下がってな」

「……ランくん。ちょっと待っててね」

 僕の頬にお姉ちゃんの手が触れた。

 お姉ちゃんの目の色が変わり、相手の方に向かっていく。

「私、もう許さないから」

「許さねぇのはこっちだ。ここで幹部をひとり……」

〈クイック・ショット〉

 ドドドン。

 三発の弾丸がお姉ちゃんへ飛んでいく。

「……」

【Critical】【Critical】【Critical】

 相手の身体が光る。

「全弾クリティカルヒットだ。諦め——」

「全然効かないよ」

 太刀の刀身から、しゅー、と、三ヶ所煙が上がっていた。

 お姉ちゃんはそのまま相手の方へ歩いていく。

「おい、アタッカーでこの防御力は異常だろ」

 あ。

 もしかしてこの人、ヒイロお姉ちゃんをアタッカーだと思ってるのかな……。

 普通、ひとふりの太刀を装備した和装の人がタンクだとは思わないだろうけれど。

「ちっ。じゃあ、こいつで……」

 と、相手はゆっくりと歩いてくるお姉ちゃんに向かって、駆け出した。

「……」

 まさか銃使いが距離を詰めてくるとは思わなかったのか、お姉ちゃんは太刀を構え、ガードの体制を取る。

 相手は、お姉ちゃんの前まで来ると、たん、と飛び上がった。

 銃を両手で支え、銃口を刀身に付ける。

「お姉ちゃん、来るよ!」

「ゼロ距離」

〈インストゥル・バースト〉


 ひゅおおおおお。

 ふたりの間を風が通り過ぎる。

 一瞬、その体勢のままでふたりが静止しているように見えた。

 商店通り全体が水を打ったように静かになる。

「私の勝ちー」

〈リフレクション〉

 相手の左腰から右肩にかけてを刃が走った——

「——————」


【ルヴィンに勝利した】


——————————


ラン   US〈相手の攻撃スキルの命中率が少し減少〉

     SS〈?〉……?


ヒイロ  US〈相手と対峙した時、防御力がほんの少し上昇〉

     TS〈リフレクション〉……ジャストタイミングで使用することで、近接攻撃を無効にし、二倍の威力にして相手に返す。

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