第2話 同棲に向けての準備
「これで荷物は全部かしら?」
母さんが俺に聞く。
「ああ、これで最後だ」
「しかし何もないわねぇー。ねぇ麻ちゃん?」
そう母さんが冬の母、麻美に話しかける。
「そうねぇー。これから家具を四人で買いにいかない?」
と冬の母が母さんに言う。
「いいわねぇ。じゃあ行きましょうか」
乗り気な母たちに俺は呆れる。
「金はどうするんだ?この家もマンションとはいえ数千万だろ?どっからそんな金が出てきたんだよ」
俺は母さんに尋ねる。
「確かに」
隣にいた冬も同意見のようだ。
「あらぁー。言ってなかったけ?おじいちゃんが資産家だって。おじおちゃん透が冬ちゃんと同棲するって言ったら買ってくれたのよ」
「は?初耳だわ」
俺は怒り気味に言う。
「ま、まぁ誰にだって伝え忘れはあるものよ?買い物行きましょう。ね?」
母さんがあからさまに話題をそらすが、まあいい。
俺は何も聞かなかった事にした。
それぐらいに衝撃的だったのだ。
〜家電量販店にて〜
「はい!透は冬ちゃんと手繋いで!は。ぐれないようにしなきゃ」
母さんがにっこにこしながら言う。冬の母さんもだ。
冬も照れてしまっている。
「じゃあ冬。その手いいか?」
「う、うん」
モジモジしながらも冬が手を差し伸べてくる。
俺はその手をとる。
(柔らか。めっちゃぷにぷにじゃん。一生繋いでられる。)
俺は冬の手を揉む。
冬の顔がみるみる真っ赤に染まっていく。
「若いっていいわねぇー。怜ちゃん」
冬の母さんが母さんに話す。
「そうねぇ。私もあんな感じだったわねぇ」
そうして家電を選び、家具も買いに行くのだった。
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