大好きな幼馴染が許嫁になった

砂糖 甘

第1話 幼馴染が許嫁に

 「透、ぎゅーってしてもいい?」 


そう二人きりの部屋で呟くのは、近江冬華。 

俺の幼馴染でもあり許嫁でもある少女だ。



なぜ許嫁になったのか、それを説明するためには小一時間程、刻を遡らなければいけない。 



〜一時間前〜

 


如月家の食卓にて俺は呆然としていた。


「え?いまなんて言った?!」

「だからね、透は冬ちゃんと一緒に住むことになったから、明々後日までには荷物まとめといてね。引っ越さなきゃだから」


そう淡々と告げる母に俺は驚いた。

その隣で父さんは頷いているし。


「まってくれ。どう言うことだ?なんで俺と冬が一緒に住むことになっているんだ?」

「だって、昔冬ちゃんと結婚するって言っていたじゃない?だから高校入学を機に一緒に住めばいいんじゃないかって、冬ちゃんのママと話してたのよ」


何も不思議なことはないというように告げる母さんに俺は唖然としていた。


「いや。それ小学校低学年とかの時だろ?それを本気にしてたのか?」


俺は至極当然な疑問を投げつける。


「あら?冬ちゃんと一緒に住むの嫌なの?」


と疑問をぶつけてくる母さん。

父さんはなんで黙り込んでるんだ

と言う疑問を胸に秘めながらも、答える。


「そりゃあ、俺は嫌じゃないし。寧ろ嬉しいよ?でも冬はどうなんだ?冬は同意してるのか?」


俺は照れながらも答える。


「あら〜照れちゃって。冬ちゃんは同意してるわよ。寧ろ積極的よ」


にこにことしながら返答する母さん。

俺は気づいてしまった。


「俺ってもしかして冬に好かれてるのか?」

「あら?気づいてなかったの?あんなに分かりやすいのに」

「・・・・・・」


(まじか。)


「じゃあ荷物まとめとくよ」


というわけで、今俺は冬の部屋にいるのだ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「なんで急にそんなこと聞いてくるだ?」


そう俺は冬に聞く。


「だって、透は私のことが好きなんでしょ?」

「うん」

「そうなら、もう遠慮する必要ないもん。私ずっと透に甘えたかったんだもん」


顔を真っ赤にしながら言う冬。


「そうか」

「じゃあ、その、ハグするか?」


俺も照れながら告げる。


「うん」


(可愛いな、冬)




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