第3話 二人きりで

 つい先ほど買った机を挟んで透と冬華は向き合って座っていた。 

 

「では、今後同棲するにあたっての約束を決めていきましょう」


と透が言う。


「はい」


冬華が返事をする。


「まず、家事分担について話し合おう」

「適材適所でいこうと思う。冬は何が得意?」


と透が冬華に質問をする。


「うーん。料理は得意だよ。掃除もできる」


冬華が答える。


「じゃあ冬華が料理担当。他の家事は俺がする。それでいいか?」

「え?料理だけでいいの?負担が違いすぎると思うんだけど」


冬華が至極真っ当なことを言う。


「だって、冬が大変になっちゃうじゃん。俺は冬を楽にさせたいんだ」


何がおかしいんだ?と言うような顔で透は言う。

あの親あってこの子あり。


「じゃあ、透は掃除担当で、他は暇な人がやるってことでどう?」


冬が心配そうに言う。


「まあ、冬がそれでいいなら良い」


俺は渋々了承する。


「で、他のことなんだけど。一日に一回は抱きしめたいんだけどいいか?」


俺は話を変え、小さな声で言う。


「う、うん。そうだよね。付き合ってるもんね。良いと思うよ」


冬が照れているのか口早に言う。


(やったぁ。透といっぱい合法でぎゅーって出来る)


(これで冬を合法的に抱きしめられる)


二人が同時同じことを思う。


「じゃあ、その早速抱きしめていいか?」


透が恐る恐る冬華に尋ねる。


「うん。じゃあ」


両手を広げて抱きしめられるのを待つ冬華。

可愛すぎないか?


「ん。早く」

「あ、ごめん。ちょっと冬が可愛すぎて」


そう言い俺は冬を抱きしめる。


「冬、これやばいぞ。もう幸せすぎる」


俺は涙目になりつつも呟く。


「わ、私もだよ。こうしてると透を感じられて幸せ」


冬も照れながら同じようなことを呟く。


「もう、冬が温かいしもちもちしてて気持ち良すぎる。ずっと抱きしめていたい」


かぁぁぁと冬の顔が真紅に染まった。





  幸せな二人であった。


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