第5話 拠点そして自宅

 新しい肉体を動かしてみる。筋骨隆々の素晴らしい身体だ。杖無しで歩ける喜びに感動する。走ってみる。すごい!凄い。ジョギング程度の力でしか出していないのに一瞬で100メートル位の距離を走り過ぎたのだ。息も乱れていない。こんな素晴らしい身体なのにあそこは短小なままなんだよなあ。シュン

 、女神様がなぜ俺の短小に拘ったのか。実は彼女達はあそこが凄く狭いらしいのだ。

 女神の血を引く聖女の多くがやはり狭く、普通の男性とでは、聖女達にとって拷問に近いものらしい。その点、俺の物はしっくり来るらしい。

「聖女は処女でないとヒールの力が無くなる為に独身のままなのだとまことしやかに言われているけれど実際は物理的に処女のままでいるしかないのよねえ」

 だから、可哀想な聖女たちに女性の喜びを与えて欲しいとの事だった。

 因みにわたしの世界は一夫多妻だから安心してね。と、アルリース様。

「はは、この歳じゃご期待に沿えず申し訳ございません」

「あら、ひるめ様の加護に身体異常皆無というのが有ったでしょうあれって老化もしないのよ。つまり、ほぼ不老不死ってことよ」

「それは大変だ。働きずめで生活費を稼がなきゃ」


無限収納インベントリーを確認してみて」とプッピ。

 インベントリーの中には大量のコインの他にさっき全滅させたウルフの肉や毛皮、牙や爪が入っていた。

「おお、80匹だったのか」

 なる。周囲にはウルフの死体はない。この世界では魔物は死ぬとドロップ品を残して消えてしまう。自動収納にセットしておけば勝手にドロップ品は収納される。マジックバッグにもその機能を付けると高価なものになる。

 俺の自動収納の有効距離は約5キロメートルだった。人によっては1キロメートルしか無い。尤も、無限収納持ちなど滅多にいない。俺の他には勇者位だという。なので、人前ではマジックバッグに転送してから取り出すようにアドバイスされた。


 さて、そろそろ拠点に行きますか。拠点ドアと念じると、目の前にうす暗い結界らしきものが現れた。

「他人が見ると何もない空間に出入りしていると思われますので、人前では使わないほうが、良いと思います。」とプッピ。

 前に進むと貴族のお屋敷かと思われるような家があった。豪華な玄関の前にメイドがいた。

「昇龍様のお世話をさせていただきますキララと申します。よろしくお願いいたします。」

「ああ、よろしくたのむよ。」

 キララはアルリース様にそっくりなオートマタ(自動人形)だ。

 屋内には黒目黒髪の着物姿のオートマタのしのぶがいた。こちらはひるめ様にそっくりだ。実はこの2体。日本のラブドール職人に作らせたラブドールだった。天界にいる女神様が俺との夜の営みを楽しみたいのでその時に、意識を連動させるのだとか。女神様達、助平過ぎじゃない?

 屋敷の中には俺の個室が用意されていた。日本の俺のアパートの部屋だった。

 私物持ち込みが許されたので、アパートの電化製品を魔力で使えるようにして貰った。冷蔵庫も使えるしエアコンもテレビも使える。撮りためたブルーレイデイスクも再生出来る。但しベッドは、日本製の最高級品にかえて貰った。その為か、部屋が広くなっている気がする。

 押入れをあけると、日本で着ていた服は今の身体に合わせたアルメリアス風の衣服に変わっていた。ありがたい。

 水道の蛇口をひねると冷たい水が出てきた。

 美味い。いつも飲んでいた故郷の水だ。他の国に行くと生水を飲むと腹を下す事があると聞いていたのでアルメリアスでもこの水を飲めるようにお願いしていたのだ。インベントリーにもつながっているはずだ。

 これで快適なスローライフが送れるだろう。時間を作って昔夢中になっていた釣りに行こう。楽しみだ。


 しのぶが作ってくれたご飯を食べてからマジックバッグを製造する工房に入った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る