第7話 ありのままで


 一週間後。


 不発弾が見つかったあたりが騒がしい。スーツの外国人が居なくなった。何やら逃げたのだ。たぶん豪遊をしているらしい。


 今宵が山か……。


 俺は死にたい、だから、この目で見たかった。この文学部は何故か世界の終わりに興味があるのだ。


 俺達は山岳部からテントを借りてグランドに泊まり込むことにした。生徒会長で幽霊部員の真華さんもいる。勿論、顧問の宮前先生もだ。


 奈菜さんは携帯ガスバーナーでお湯を沸かしてコーヒーを飲んでいる。


 完全にキャンプ気分だ。


 きっと、世界の終わりが来たらこんなモノだろう。


 俺が星空を眺めていると。


「香苗君は世界の終わりに何をしたい?」

「えーと、何もいらないです」

「わたしは大好きな人と一緒に居たいかな」


 もう直ぐ、世界が終わるというのに綾乃さんも静かにしていた。


 ここは告白?イヤ、違う。


 もう、一緒にいるだけで満足だ。その日の星空はまるでプラネタリウムの様にはっきり見えた。


 そして、夜が更けていくといつの間にか、寝てしまったらしい。


 それから、まだ、辺りが暗い頃に目が覚めると不発弾のある工事現場から光がこぼれている。皆で近づくのである。


 不発弾が二つに割れると。


「ビーィ」


 現れたのは皇帝ペンギンである。不発弾から出てきた皇帝ペンギンはありとあらゆる検査を受けてこの学校に戻ってきた。学者の見解はコールドスリープであった。

未知の科学が皇帝ペンギンをコールドスリープさせたのだ。たぶん、このペンギンが元気でいる事を考えるとコールドスリープは成功したらしい。


 それでだ、何故、その皇帝ペンギンをこの文学部で飼うのだ?


「だって面白いでしょ」


 綾乃さんが微笑んでいる。


『面白いか……』


 この文学部に来て今までそんな考えは浮かばなかった。


 俺は、ただ、恋が始まったと言う以上に生きたいと願うのであった。

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文学部のバニーガール 霜花 桔梗 @myosotis2

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