第6話 幼少期 5

人見知りという言葉では片付けられないくらい無愛想な私は基本1人遊びが好きだ。

遊び相手は【虫と石】だけである。


カッコよく【愛と勇気だけが友達さ】なんて

言ってみたいものだ。


【友達】と遊んでいると母を震えさせることが時々あった。

まずは虫さんの話からしよう。

親友はダンゴムシさん、カタツムリさん、

アリさんだ。


私は爪楊枝を持ち出して、ダンゴムシさんを

3匹串刺しにした。

「ママ見て~お団子~」

「や、や、やめなさい!可哀想でしょ!!」


私は雨合羽を着て雨振る外から帰った。

ポケットにはありったけのカタツムリさんを

詰め込んでいる。

「ぎゃああああ!!」


次の晴れた日、惣菜パックにありったけ集めたダンゴムシさんの溺死体を見た母から

「お願いだから殺さないで...」と懇願された。

殺すつもりはなかった。

まさに自供のテンプレート。


別の日、私は白色の紙を持って外に出た。

花や葉を紙に擦り付けて色に名目を書いた。

「ママ~いろんな色を見つけたよ~」

アリと書いてある色については、もはやスルーであった。


私をサイコパスだと思った人は

至って正常な心をお持ちだと思う。


次に石さんの話だが、さすがに相手は石なので

残虐な行為はしていない。

石に絵を描いたりする可愛いものなのだが

ある日、ひとつの石に衝撃を受けた。

まるで牛の舌のような形で黒くツルッとしていてズッシリ重いその石に、私は「べーろん」と名付けた。


私がその石を可愛がりすぎて命が宿ってるみたいで怖いから捨てるに捨てられない...と、

未だに母が大事にしまっている。

なんならたまに陽の光を浴びせているらしい。


それに意味があるのかは友達の私にもわからない。

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