第4話 葵祭の後日談2
いじめすぎたかなと思ったので、別の話題をふる。
「それで、賀茂の祭りの当日はどうされたんですの?」
「紫の君と行ったよ。」
「ふふふ。ずいぶんとご寵愛ですのね。」
「本当に可愛いんだ。祭りの当日もいつもよりかわいらしく準備していてね。髪をなでていたんだが、最近髪を切っていなかったような気がしてね。だから、暦の博士を呼んで
「どうでしたの?」
「問題がないようだから、私が切ってあげたんだ。」
「あら。」
「ただ、とても多くてね。素晴らしいことなんだけど、とても切りにくかったよ。」
「たいそう豊かですのね。」
「ああ。
髪の毛がとても長く多く伸びますようにですね。
「乳母との関係もよろしいのですね。」
「ああ、それで、紫の君に「あなたの将来は私だけが見守りましょう」と和歌を詠みかけたんだけど、ものに書き付けて返事をするようになってきてね。成長が見えていいと思わないかい?」
「そうですわね。」
「しかも、「そんな深い愛情とどうしてわかりましょう」とちょっと生意気なことを言うようになってきてね。無邪気にかわいくて癒されるよ。」
「かわいらしいですわね」
女性関係でお疲れですものね。でも自業自得ですよ。
「それから、物見に行ったんだ。でも、いざ着くと、所せましと物見車があってね。その中の悪くはない感じの女性の乗っている車が扇を差し出して招くんだ。それに招かれていくと、場所を譲ってくれると言うんだ。せっかくだし譲ってもらおうと近づくと、しゃれた扇に、「他の人と会っているあなたを待つなんて他愛のないことでした」と和歌があってそれを見ると、かの
「まあ。ふふふ。面白い方ですわね。」
「そうだね。だから、「浮いた心ですね」と返したよ。そしたら、「誰かといるなんてくやしい」と返歌がきたよ。でも明らかに誰かと乗っているのに、声をかけるなんて彼女ぐらいだと思わないかい?」
「そうですわね。みんな遠慮しそうですものね。でも、そこがその方のおもしろいところだとも思いますわ。わたくしは聞いてて楽しく思いますもの。」
「そうか。君が楽しく思ってくれるなら、源典侍も捨てたもんじゃないな。」
「ええ。適度に交流してくださいな。」
「わかったそうするよ。」
そして、私に話題を提供しておくれ。
そして、兄は帰って行った。
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