第4話 兄宮 源氏に

 光源氏の妹のくせに大したことないねと言われないように日々、お勉強の毎日だ。


 兄は、原作通り、高麗人こまうどの観相人の鑑定を受けたようだ。私も行きたかったな。乳母めのとの猛反対でいけなかった。

 やっぱり原作通りに、皇帝の親になる顔だが、皇帝になると国が荒れる。って言われたのかな。


「姫宮様、兄君は源氏におなりになることがお決まり遊ばしました。」

「まあ。兄宮様が・・・」

 知ってたけどね。ついに光源氏の誕生だね。


 父君のお悩みようは半端じゃなかった。親王にしておきたいが、後見がないので無品の宮になってしまうかもしてないと。

 おとうさま。私のことも考えてくださいませっと心の中で訴えた。


 その訴えが届いたのか、父が来た。

「姫宮。兄宮は源氏となることになった。姫宮のことは、父が死んでも、兄宮が守ってくれるだろう。裳着もぎのころには、降嫁先も見つけてやろう。安心しなさい。」

 まだわからないはずの幼子に話しかける。掌中の珠である兄を源氏とするのはつらいようだ。

「おもうさま(父)私、降嫁もいつかさせていただきたいですが、できるだけおもうさまのそばにいとう存じます。」

「かわいいことを言ってくれる。」

 だって、できるだけ遅い方が、自分の意見言えるじゃない。

「おもうさまのお勧めする方と交流をもってから降嫁しとうございます。」

「そうだな。姫宮は人との交流を大事にするからな。覚えておこう。」

 はい。覚えておいてくださいませ。ぜひとも忠実人まめびとを。モブでいいからね。頭中将とかやめてね。言えないけど伝わりますようにと念じた。


 兄は源氏になっても父といつでも一緒だ。私は引きこもりが普通の姫なので、お手紙を交わすだけだが、兄はいろいろな女御さまのもとへ訪れている。きっと原作通り、美貌で許されているのだろう。


 兄は私にもよく会いに来る。

「宮、兄が宮の後見となるからね。」

 と言ってくれる。本当にありがたい。私はできるだけ裳着もぎを遅らせますのでその間にぜひとも出世してくださいませ。

「よろしくお願いいたします。」

 本当に心を込めてお願いした。

 藤壺宮が入内するまでに兄妹の絆を深めましょうと、兄にも文をまめにおくるようになった。

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