第3話 対面、女御たち

 次の日、桐壺帝が弘徽殿女御こきでんのにょうごに会いに行くのに連れてってもらえることになった。大丈夫かな。いじめられないかな。二宮である兄と一緒に行く。この美形と兄弟って慣れないわ。

「お初におめもじいたします。女四宮にございます。」

 そこには、弘徽殿女御とその子供たち、女一の宮・女三の宮、そして東宮さま、のちの朱雀帝がいた。あ、朱雀帝と仲良くなるって手もあったね。気が弱いけど優しい人だし。

 子供なので御簾みすの中に入れてもらえている。顔を上げた瞬間、弘徽殿女御の顔がひきつった。これはダメだ。そうだよね。そっくりらしいもんね。大嫌いな桐壺更衣と

「初めまして。女四宮」

 それでもほほ笑んで対応してくれる。豪華な美人って感じだし、割といい人?なのかな。そうだよね。非常識だったのは父である桐壺帝の方だし。自分と自分の息子の立場が脅かされそうだったんだもんね。

 とりあえず、無害な幼子ですよーっとニコニコしておく。

「女四宮、こちらで雛遊びでもいたしましょう。」

「はい。姉宮様。」

 姉宮たちが呼んでくれる。危険かもしれない場所からは距離を置こう。

 もう一人の兄である、東宮も近づいてくる。全員にニコニコ笑顔を振りまいてその日が終わった。


 次の日は、麗景殿女御れいけいでんのにょうごだ。かの花散里はなちるさとの姉だ。もういたんだね。花散里の姉だしどうかなと思ったんだけど。あ、でも考えてみたら、朧月夜も弘徽殿女御の妹だしありか。

「まあ、かわいらしい姫宮さま。」

「初めまして、女四宮にございます。」

 原作通り温和な方のようだ。優しさがあふれ出ている。お父様、この方の何が不満なんですか。母みたいな儚さや美貌はないが、素敵な人ではないか。


 この方なら、かわいがってもらえそうだし、ちゃんとお世話してくれそうだ。

 でも、のちのち源氏に引き取られるんだよなあ。妹だから何もなければ引き取ってくれそうだもの。母代わりになってもらって一緒に二条院に来てもらって婿どりでもいいかもしれない。この方を第一候補にしよう。受け入れてくれたらの話だけど。


 また、次の日は承香殿女御じょうきょうでんのにょうごだ。

 この女御にはまだ生まれていないがそのうち四宮が生まれる。男の四宮だ。私の後見まで気が回らないかもしれない。まだお若い感じで猶子にしてもらうのは何か違うかもしれない。

 印象も両家のお嬢様という感じだ。


 うーん。やっぱり麗景殿女御さまかな。ほかの方とも交流しつつ、麗景殿女御さまとはもっと仲良くなれるように交流しよう。

 ちなみに藤壺宮はまだ入内していない上に、その後の後見は光源氏だ。それなら麗景殿女御さまのがいい。三角関係に巻き込まれてはたまらない。私はモブとして生きるのだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る