蘭子は4るために9りかえし、自分の13を探しに19

 夏休み、隣の家…太郎の家が騒がしかった。

 ある日、なんだろうなと思って覗いたら…何か変態的な格好をしたでっかい痴女が、変な格好のシアと一緒に太郎の部屋で何やらやっていた。


 助けた方が良いのか?それとも警察呼んだほうが良いのか?

 悩んでいると突然、私の部屋にデカい熊みたいな痴女が立っていた。


「貴様も百倍カンチョロNTR我慢大会…」


 意味不明な発言をした後、学校のジャージの下を脱がしいきなり何かお尻の穴に挿し液体を入れ始めた…その力はまさに獣…逆らう事の許されない圧倒的な力で何かの液体を入れ続ける…その直後、身体がおかしくなった。


 私は自慢ではないがそういった大人の行為は何度もしている。

 それこそ良くない噂がたつ程には。

 その私が半狂乱になるほどの熱さと欲求の高まり…何でこんな事されるのか…

 ただ一つ、こんな状態で鬼頭さん以外とするのは鬼頭さんへの裏切り、そしてある意味祝福してくれた太郎への裏切りだ。

 私は電話で、メールで、大声で鬼頭さんの名前をを叫びまくった。


 何とか間に合った鬼頭さんとめちゃくちゃした。

 まだ、妊娠も多分陽性だろうぐらいの時期だから平気だと思うけど…いや、生まれるまではコレで最後だからと思うと余計燃えた。

 朝のスズメが鳴いてもやりまくった。

 未だに何故、怪物にあのような事をされたのか謎だ。

 太郎やシアも分からないという。


 それから夏休みが明けて、二学期が始まるタイミングで、何故かシアがクラスにいた。


「蘭子!これからクラスメイトとしてよろしく!」


「は?」と素っ頓狂な返事をしてしまった。

 

 何やらシアは、二学期からうちのクラスに入ったらしい…隣の隣ぐらいじゃなかったっけ?

 そんな疑問をよそに太郎やヨータに話しかけるシア…後、何かクラスにスゲェ壁が出来てんだけど…


 私は遅刻してきたから知らなかったが、後から聞いた話だと朝のホームルーム、クラスの自己紹介の時にハッキリ言ったらしい。

 

「残り僅かな高校生活、大切な人と静かに過ごしたいと思っています。だから仲良くする気はあるけど友達を増やす気はありません。ごめんなさい。こんな奴だけどよろしくね!」


 シアは強くなっていた。太郎にだけやたらアクティブに、そして周りに気を使うシアはもういない。

 太郎への態度も変わった。前は自分の欲望を満たすためにやりたい放題で周りが見えていないイメージがあったが、今は配慮という形で上手くバランスを取っている。

 受験前の3年後半という事もあり、シアがいる事に気を使わないタイミングを選んでいたのも良かったと思う。

 クラスにいたシアの取り巻きにはクラス全員がいる前でしっかりと話をした。


「私は貴方達と同じ高校生、日本の田舎から出てきたただの子供。何一つ特別な事は無い皆と同じ…だから特別扱いされると腹立つからやめて…」


 口調は厳しいものの真剣に向き合ったら分かってくれたらしい。 

 そして遅れを取り戻すかのように授業に真面目に取り組んでいた。

 昼休みには私達と一緒にご飯を食べ、放課後になると仕事に行った。

 今の事務所は何よりも学業を優先させてくれるらしい。

 今のシアに非の打ち所は無かった…と最初は思った。

 しかし…普通の女子高生になるために悪魔に魂を渡してしまったのだろうか?


 それは10月頭頃に起こった。

 それまでもちょくちょくあった…シアが急に汗だくになり空に向かって何かを必死に懇願する。


「お願いします、帰ってもらえませんか?どうか…」


『シャ…クラス…アイドル…誰の…おかげ…』


「私は…最初から…望んでいません…普通に…」


『キサマ…諫言を…シャ…3倍の裏切り…シャ…』


 今のシアの席は急な編入で一番後ろ、掃除ロッカーの前でドアの横だが、その付近からたまに何か声が聞こえるのだ。

 その声がするとシアは必死に冷や汗を出しながら帰ってくれと懇願する。

 ある日、担任の先生が気付いた…声に…シアの異変に…何故かガムテープを持ってシアに近付く担任。

 

「図浦?大丈夫か?忙しいんだから無理するなよ?」


「え?ええ、ちょっと勉強難しくて…すいません」


 挙動不審なシアを横目におかしな動きをする担任…喋りながらガムテープを拡げ…?


「体調悪ければ本当に無理するなよ?事情は知っているからな、学校生活を楽しみたいのは分かるが無理は禁物…『ビリビリー!ビリー!』キサマァっ!なぜここ居るっ!?フジワラアアアアアッッッ!!!」


 急に大声を出してガムテープでロッカーをぐるぐる巻き始めた!?

 この担任、普段はとても温厚で言葉は優しく、トップクラスの学校から少し前に赴任してきた変わり者教師だった。

 どんな事にも動じない先生でどんな事でも相談に乗り生徒からは人気がある、私のクラス編成で太郎と同じクラスにしてくれたのはこの人らしい。

 しかし、同時にこんな声を出した事は一度もないので皆ビックリした。

 謎の声が大きくなる…ロッカーにいたの!?


「厶厶厶!?貴様はマスゲーム担任…何故ここに?そうか…私の行く先々でストーカー行為か…フッ…このオレにストーカー行為は通じないしストーカーなんて教師生活終わったな…オレは怪しいと思っていたんだ…』


ビリビリー!ビリビリビリビリー!ぐるぐるぐる…

 ガムテープでロッカーをぐるぐる巻にしながら何処かに電話している担任…何やってるんだろう?


「フジワラァ!今は根多だな!結婚式はありがとよ!1年から3年まで、卒業式も、結婚式も何もかも全部!よくもやってくれたなぁアァ!?なぁおい?何で素直な気持ちで俺にお祝いをさせない!?何故俺を怒らせるんだぁあ!?教師だから異動に決まっているだろうが!貴様に比べれば今はひよこと人間ぐらいの差がある素晴らしい生徒に囲まれてるわっ!」


「フフフッ哀れ捏造教師…ならばその化けの皮を剥がしてやろう…」


 担任はスマホを素早くスピーカーホンにしてロッカーの穴に向ける。

 そして謎の女性の声がガムテープぐるぐる巻きのロッカーから木霊する。


「皆のもの、聞け。この担任はマスゲーム担任…オレの学生時代、体育館での起立、礼、座れを強要し、無視してスマホでエロ動画を見るオレに『せめて周りから見えないようにやれ』と卑猥な指示をした極悪教師だ。他にもオレが今の旦那、根多、オレも根多龍虎になって分かりづらいがオレはタツというが、根多博之というイケてる男、郵便番号419-1192、ヨクイク イイク○ニ、丸○町2-○-6に住む今の旦那、ヒロが当時の彼女、クソイカを気持ち良いポ○ちんに寝取られ悲しく泣いていた…オレ、タツはスッと立ち上がり勇敢な顔で彼を救うべくクソイカとの闘いの日々が始まったが…その際にオレは自分の腸内に封印されるという拷問を受けた…その事をそこのマスゲーム担任に相談した所『意味の分からない事を言うな』と一蹴した。また、VRゴーグルを付けて屋上で遊んでたら、たまたま校庭で生徒を集めて長尺の呪文…相当な破壊力の魔法を唱える校長の真横に落ちて詠唱を止め、世界を救ったというのに『お前、校長の心臓を止めるきか?今回の件は留年ものだからな』と脅してきた…どうだ皆?もしその担任を悪と思うならオレを救うべく立ち上がろうではないか?」


 シ〜〜〜〜ン



『言いたい事はそれだけか?タツ』


 突然、男性の声がスピーカーホンになっているスマホから流れた。ロッカーからすぐ返事が来た。


「ちょっと待って、今タツじゃない奴がなんか言った。」


『先生、お久しぶりです。結婚式来てくれてありがとうございました。それとそこ、何階ですか?ああ、3階ですか。ロッカーの形が変形すれば出れないと思いますので、下に人がいないか確認の後、ベランダから落として下さい。弁償しますので。すぐ行きます』


 担任は頷いているがロッカーからの声は続く…


「すいません、忍び込んだタツじゃない忍びです。この城は落城したという解釈であってますか?」


『あぁ、その解釈で合ってるし、捕まった忍、俺の個人情報晒し忍は介錯無しで切腹だ、苦しんで死んでもらう、待ってろ』


 ズルズルズル…ロッカーがベランダに向かう…


「うおぉぉぉ…シャー!助けろ!シャー!今こそ忠義に報いるべきだ!その担任はキラキラ何とかだ!年始のよくやるやつ!あ!そこのお前!隣の家のやつ!?お前でいい!助けろ!浣腸してやったのを忘れたか!?おい!おぉい!?」


 ロッカーの扉に付いている穴から鷹の目のようなものがこちらを見ていた…この人…夏休みにいきなり侵入してきて浣腸してきた人だ…私は目を逸らす…シアを見ると両手で耳を塞いでいる…


「お前らっ!?見猿聞か猿言わ猿か!猿野郎!このイエローモンキーっ!私を救えば!バラ色の日々いよぉ!?『ゴトン』あああぁぁぁぁぁぁぁぁ…『ゴィィィンッグシャ!』


「今日のロッカーは今で言う異世界に繋がっていたみたいだな、じゃあ気を取り直して授業の続きを始めよう。」


 …………そして昼休み、皆で昼食を食べながらシアに聞いた、アレ、何?って。


「一応…一応大まかに言えば私を救ってくれた人ではあるんだけど…実際はあの人の周りの人が良くしてくれて、事務所も変えられたし学校に来れるようになったんだよ。今いる所が学業優先でね、芸能活動続けるにせよ高校は…可能であれば大学卒業しとけって社長の方針で…でもきっかけを作ってくれた人だからなんか逆らえなくて…」


 太郎も深刻な顔で頷きながら言った。


「さっき担任から聞いたんだけど、あの人、タツさんの高校時代の担任だったらしいよ…なんか武道の家の超有名人で俺達じゃ関わる事の出来ないようなVIPとも関係あるらしいけど…旦那さん以外の言う事を全く聞かずそれこそ異世界から来たような行動しかしないんだって…その旦那さんに『何かを成そうと思うなら一切アイツに喋ってはいけない』って念を押された…」


 なんだそりゃ?そんな太郎は放課後、店を閉める事が多くなってきた。サラを探しているらしい。


 サラを見なくなり、突然シアがクラスにやってきたり不可思議な事が増えた。そしてメグミ…太郎が居ない時に教えてくれた。


「お兄ちゃん…今、サラの事探しているんだけど結構危ない感じなんだよ…でも、最後にサラと話したのはお兄ちゃんでさ。そっから連絡取れなくなっているから責任感じちゃって…事務所にも行ったけどもぬけの殻、電話も通じない…サラ…本当に何やってんだろね…私は…まだ友達だと思ってるんだけどなぁ…」


 突然、草葉の影から声がする…膝下までのパーカーを着てフードを深く被った女の人がいた。


「メグミ…時間ろ…まぁ青春したいんだっとらやめてもいいげどもなぁ…べづにお前がやんなくてもいいことらろ?」


 身体を伸ばすように屈伸をした後、メグミはバックを持って女の人の方に向かった。


「蘭子さん、色々不思議な事が起きて…サラもいなくなっちゃったけど…それでも今は毎日が楽しい…だから蘭子さんはさ、元気な赤ちゃんを産んでね?私は強くなって守る、例えどんな事が起きても、幸せな時間を知ってる人、そして生きてさえいればチャンスはあるし、私は勝ちだと思っているからさ!じゃあまた明日!暗転さん、行きましょう!」


「まぁ頑張れ…やれるだけやったれ…」


 私は…ただ静かに皆で時間を過ごせれば良いのにな…

 昼食の時間は皆で…それは毎日が平穏で…ここにサラがいればって思うけど…それは贅沢な事なのかな?

 シアもサラも複雑な家庭環境だ。子供に対して思うところもあるかも知れない。

 でも子供を産むって決めてから…多くの人に祝われたいって思う事は我儘なのかな?

 

 家に帰って鬼頭さんとそんな話をした。


「望まれない子供だっている、だからってわざわざ望まれずに産む必要はないだろ?沢山の人に祝福されて産まれて来たほうが良いに決まってると思う。産まれてからだって幸せになれる奴もいる。でも自分が望まれなかったからといって産まれてくる子供にまで同じ目に合わす奴はいねぇだろ?皆に祝われたいって気持ちは間違いじゃねーよ」


 鬼頭さんも私と違って複雑な家庭環境だ、この歳になるまでに家族関係を改善した。

 改善するきっかけは太郎と…私の家族に会ってから。

 子供を俺みたいな捻くれ者にさせたくない、お前らみたいな人の為に悩めるような真っ直ぐな奴になって欲しいと言っていた。

 フフ…太郎…私達はそんな大層なもんじゃないのにね。


 ねぇサラ?皆、自分のペースで少しづつ…前に進んでいるよ?

 世界は太郎や家族だけじゃないんだよ?

 貴女だけ前に進もうとしなくて良いんだよ?

 

 皆、何かと闘っている…前に進んでいる。

 私は…この子と幸せになる…それが私の人生の意味で…闘いだから…皆がそう教えてくれたから頑張るよ。

 

 サラ…耳を澄まして…考えて…大事に思っている人達の声を…聞き間違えないで…



――――――――――――――――――――――――


「博之さん、マスゲーム担任の諫言に騙されてはいけません。アレは何とかの相が出ている。裏切るやつです。」


「タツ…お前は俺の奥さんで最愛の妻だが本当にろくなことしないな…まぁ良いや、それより不知火本部行くぞ。イクエといい、いい加減ムカついて来た…遅いんだよ…全部がっ!」


「ま、待って。ヒロ…面倒臭い事はよせ!やめましょう!また変な面倒な事するのは嫌だぁ…」





※何かコメ返しをしてるのに消えるという謎反応が出ていますがチョコチョコ返しマンモスなクマシオです。展開がウ○コ色、皆様愛してますよん、

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