概要
物語の舞台は中央アジア、時代は中世。主人公の女商人が護衛の騎士と共に旅をして、少しずつ人間的な成長をしていく物語になります。色々な敵に襲われたりするバトル要素もありますが、メインは社会情勢を利用した商人同士の虚々実々な駆け引き、つまり頭脳戦がこの物語の最大のウリになります。
最初は緩く始まっていき冒険譚てきなファンタジー要素が強いですが、11話から徐々に経済の話が入ってきます。それから、徐々に商人による頭脳戦の話がメインにシフトしていくという感じですので、経済が好きな人は前半ちょっと退屈するかもしれませんがよろしくお願いします。
また、この小説に含まれて
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「お金」を巡るダイナミックな冒険ファンタジー
文学、特にファンタジーの世界ではなぜか避けられがちな「経済」というテーマに真っ向から挑んだ、他に類を見ないユニークな小説です。
戦争と国の荒廃を背景に、木材の商売で一山当てようと画策する若い女性リツと、その護衛として雇われたタルワールの物語。
一見か弱い女性が戦争を背景に商魂たくましく活躍する話は、ブレヒトの『肝っ玉おっ母とその子どもたち』を思わせますが、この物語は終盤にアッと驚く仕掛けが待っています。
剣や魔法が無くても経済×地政学の知識によってこれ程壮大な心踊る冒険を描ける事を再確認させられます。
と同時に、現在の社会情勢に関連して深く考えさせられる物語です。
中央アジア圏という、ファン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!面白く、ためになる!!
読了後です。
経済、商売の話となると重苦しくて難しいというイメージが先行してしまいますが、この作品はそのイメージを見事に払拭してくれます!
まず、キャラたちとプロットが緻密に練られているところです。
実際に手に取っていただけると分かるのですが、経済という扱いが難しいテーマを分かりやすくまとめ、謎解き要素なども取り込んでおり物語として非常に面白いです。
キャラたちも親しみが持てて繰り広げる読み合い、時折見せるギャップがとても好きになれます!
更に、著者が抑えている分野の広さに舌を巻きます。
歴史学から現代の問題に芸術、地政学と幅広い分野の知識が登場して読み手を飽きさせませず、他の分野にまで興味…続きを読む - ★★★ Excellent!!!売り物の材木を運ぶ旅。ただそれだけの物語が、こんなにも面白い
本作で描かれる物語は、戦争で荒廃したシルヴァン王国まで復興の資材たる材木を輸送する、可憐な面差しをした妙齢の女商人リツと、その護衛たる元騎士タルワールの、わずか数日の旅です。
ところによっては、冒険者なり何なりが成り上がるまでに引き受けたささやかな依頼、物語のワンステップくらいのエピソードとして終わってしまいそうな筋立てですが、本作におけるこの輸送は、言わば「旅を始めるまでに積まれたもの」の、その結果。
地政学・先物取引・信用取引・金融エトセトラ。
作中世界における、現代のそれをモデルとした「経済」「政治」の有様が複雑に絡み合い、「いかにしてその状況が組み上がったか」「なぜ材木の売買が儲…続きを読む - ★★★ Excellent!!!森を抜け町へ行く若き女商人(?)と凛々しき騎士のおはなし、なのだけど。
国家を巻き込み商業ギルドを震撼させる罠がそこにはあった。
この異色のファンタジーの戦場は政と商の盤上、商売上の何気ない一言が呪文のように現実に甚大な影響を与える世界。
可愛い顔をした妙齢の女性リツは、しかしそんな麗らかな外見を他所に、大きな商取引に出る。
命を狙われるほどのひりついた駆け引き。交わされる不穏な言葉。
そんな彼女に付き添う騎士タルワール。その腕のほどは、読み進めて行けば自然と分かります。
徐々に気持ちが通い、認め合い、なのに互いに何かを隠している、そんな緊張感が漂う旅路。
読み進めるうちに引っかかりを感じていた部分から大きな舞台裏の世界が垣間見え、やがて読者の想定を上回る大きな…続きを読む