Case 10ー3 わたし
昔、本で読んだのか、テレビで聞いたのか、元ネタを忘れてしまったが、人はみんな
“”3人のわたし“” がいるのだと。
“”自分から見たわたし“”
“”他人から見たわたし“”
“”本当のわたし“”
子どもの頃、大人しい子だったのに、私はいわゆる大学生デビューした。
アルバイトで稼いだお金で、好きな物も買えたし、遊びにも行けたし。
飲みに行くのは、楽しかったし、酔っぱらうとだいぶ人格が変わった。
いや、酔っぱらっていることを言い訳にしたかったのかもしれない。
酔っちゃった……なんて、気になる男性の肩にしなだれてみたり、隙をみせて、誘われるように仕向けたり。
そうやって知り合った男性からみた私は、すぐにヤラせてくれる尻軽女と思われただろう。
大人しくて、真面目な優等生。
そんな自分に嫌気が差していた。
洋服や持ち物にお金をかけ、オシャレな人風にしていると、自信も持てたし、明るくて元気でノリのいいコみたいに見られているような気がした。
“”そういう私“”のことをいいと、思ってくれているであろう人と接する時は、私はつとめて明るく振る舞った。
高校までの友達と会う時には、その時そうだったように、静かな聞き上手な人に徹した。
家族の前でも、相変わらず大人しくしていた。
“”他人から見たわたし“”は、人によって印象がまったく違うだろう。
その人にどう思われたいかで、演じ分けている。
そんな自分を馬鹿みたいって思う。
相手に嫌われたくないから、無理して笑い、相手に合わせる。
楽しそうに振る舞ってるだけで、全然楽しくないし、疲れてしまう。
そして、思う。
“”本当のわたし“”とは?……
『人生とは自分探しの旅である』
って、誰か有名な人の言葉だったかな?
もう50になっても、本当のわたしがなんなのか わからない。
オンナってムズカシイ。
ってゆうか、つくづく めんどくさいな、オンナって。
もっと単純でいいのに。
生まれ変わったら、絶対にオトコにして下さい!!
でも、きっと こう思うのだろう。
オトコだってムズカシイって。
ー 終 ー
おんなってムズカシイ 彼方希弓 @kiyumikanata
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