Case 6ー1 飯田さん
パート中は、携帯をイジることが出来ない職場だったから、退勤のタイムカードを押して、更衣室で携帯を見てみた。
着信が3件と、留守電が入っているようだった。
息子の小学校からと、担任からだった。
息子に何かあったのか!!
すごくドキドキして、留守電のメッセージを聞いた。
担任のメッセージは、折り返し電話下さい、だったから詳細何もわからず、慌てて電話してみた。
「輔くんからお聞きになってますか?」
「いえ、今、パート終わったところで、まだ家に帰っていないんですが。何かありましたか?」
「今日の下校中に、輔くんが1組の飯田かりんちゃんとぶつかって怪我をさせてしまったようでして、飯田さんから学校にお電話きまして、謝罪していただきたいとのことなのですが……」
……謝罪……
「はい、すみません。とりあえず、家に帰って、息子に事情を聞いてみます。ご迷惑をおかけしました」
はぁ……ケガさせたって……
家に帰ると、息子はTVゲームをしていた。
「ねー!!今日の帰り道、女の子にケガさせた?」
「は?ケガさせた?あ、あ~、ぶつかって、コケてたな。大丈夫?って聞いたら大丈夫って言ったから、大丈夫だと思うけど?」
息子は、まったく呑気な感じで答えた。
「その子、1組の飯田かりんちゃんって子?」
「1組かな~?名前とか知らないな~」
息子は、小学3年生。
2年生の春に、長野に引っ越ししたから、転校してやっと1年経ったところだった。
うちの息子は、3組。
私も、やっと息子の男子のお友達のお母さんの顔を数人覚えたくらいで、クラスも違う女子のお家なんて、知るわけない。
とは言え、息子が転校してきたのは、私の母校。
私が生まれ育った地元に引っ越ししてきたって感じだったから、1組に娘がいる、私の同級生だった めぐちゃんに電話してみた。
これこれ、こうで、って話をすると、
「飯田さんママってさ~!超感じ悪い人だよ~!クレーマー気質なの!!いろいろと、いろんなところでもめる人!!
あっ!!飯田まさおって覚えてる?うちらと同い年の。ダンナがその飯田まさお!」
飯田まさお……
クラスは一緒になったことなかったけど、確かにそんな名前は聞いたことがあるような?
「ほら!飯田薬局の息子!」
飯田薬局!あ、そんな人いたな~とぼんやりと浮かんできた。
「で、謝罪にこいって言うからさ、菓子折り持って行ってくるけど、家わかる?」
めぐちゃんは、すごく詳しく教えてくれたから、あ、あそこか!って、わかった。
「ってゆうか、それ、輔くんが悪いの?
かりんちゃんて、風が吹けば倒れるくらいの弱々しい子だからさ~、ぶつかったかもしれんけど、きっと、ほんとに大して酷いケガなんてさせてないと思うよ~!!クレーマーだからさ!文句言いたいだけなんだよ!」
「でも、とりあえず、お怒りみたいだから、行ってくるわ!めぐちゃん、ありがとね~!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます