Case 5ー2 典江ちゃん

 高校生になって、風のうわさで、典江ちゃんと村田くんが別れたと聞いた。

高校別々でも しばらくは続いていたけど、お互いに忙しくなかなか会えなくて、別れたのだと。

本人たちから聞いたわけじゃないから、本当の理由なんてわからない。

だけど、別れたと聞いて、うれしいと言うより、なんてゆうのか、ガッカリした。

そんなもんだったのか……って、思ってしまった。

一生一緒にいようね! 

みたいなことを言っていたように思う。

中学時代の恋愛をそのまま貫いて結婚する人なんて、ほんの数%の確率かもしれない。

でも、そうなってほしいと思っていた。

私が村田くんのことを諦めた代わりに、典江ちゃんには村田くんのことを、ずっと好きでいてほしかった。

そんなことを私が思うのも筋違いな話だろう。

2人がどう つきあって、どう 終わらせようと、それは2人の問題で、私は1ミリも関わっていないのだから。


 私たちは、中学で部活が一緒で、女子11人、本当に仲が良かった。

苦楽を共にした仲間ってゆうのか。

中学を卒業しても、年に1度は全員で集まろう!って、高校の頃は喫茶店に集まり、大人になってからは飲み会をした。

用事があって来れない人もいたけど、いつも8人くらいは集まる。

そんな時は、中学時代の部活の昔話と、今現在の恋バナで大いに盛り上がる。

いつもいつも、典江ちゃんには彼氏がいた。

去年の人とは違うんだけど、って。

相変わらず、モテるんだな。

看護師さんをしていて、お医者さんとつきあっているって言っていたこともあった。

26くらいだったか、典江ちゃんが結婚するとみんなに発表した。

それは、お医者さん?って、みんなそう思って聞くと、タクシードライバー、だそうだ。

なんで?

いや、タクシードライバーがいけないってことじゃない。

だけど、さんざん今まで高スペックな男とつきあってきたのに、結婚相手はそれでいいの?

結婚を考えている、って話じゃなくて、結婚することになった、ってゆう、もう事後報告みたいな感じだったから、特に誰もなんも言わず、おめでとう!!って祝福した。

結婚をしてから、飲み会では幸せそうにしていたけど、何年後か 3歳と1歳の子を連れて実家に戻ってきたと言った。

なんだかもめてもめて、やっと離婚できたって。

すごくモテるからって、必ずしも幸せになれる訳じゃないんだな。

それも、違うか。

結婚してることだけが、幸せのカタチじゃないだろう。

子どもを生んで、育てる。

そこに、ダンナはいらないと思ったのかもしれない。





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