Case 4ー3 麻子

 そうだ!私はまだ入社1年目!

男にウツツを抜かしている場合じゃない!!

もっともっと仕事を頑張れって、神の啓示か!!

小杉さんのことを好きだってことは、誰にも言ってなかったし、告白して、

“”麻子とつきあってるんだ、ごめん“”

なんてことを言われる前で、良かった良かった!!

不幸中の幸いってやつだな。

そうポジティブに考えることにした。


その年の3月。

麻子と小杉さんは、結婚した。

スピード婚って言うのは、芸能界の話だと思っていたけど、こんな身近にあるんだな。

決算月だったし、何もこんな急がなくてもと周りの誰もが言ったけど、恋は盲目とでも言うのか、内輪婚で式を挙げた。


夫婦が同じ支社にいるのは、宜しくないという社風だったから、麻子は退社することになった。

同期入社で、たった1年しか一緒に働けなかった。


なんてゆうのか、流れ星みたいな人だったな……と思った。

とてもキレイでキラキラしていて、凄いスピードで駆け抜けていった伝説の女!!みたいな。



なんて、ちょっと憧れのまなざしで見ていた自分を のちのち後悔することになるとは、その時はわからなかった。



1年後

小杉さんと、麻子が離婚した。

ダブル不倫だという。

まだ、2人の間に子供はいなかったから、なんだかサラッと離婚が成立していた。

23で結婚して24で離婚。

早い!さすがにスピードスターだ!!



入社4年目。

私には彼氏が出来ていた。

いや、彼氏とは呼べない人。

彼女持ちの会社の上司 永野さんと、ズルズルのズボズボの関係になっていた。

完全に、私が本命でないのはわかっていたし、

彼女と別れる気がないのもわかっていた。

だから、別れてくれなんて、困らせるようなことも言わなかった。

都合のいい女と思われていたのだろう。

こんな不健全な関係は、いいわけない。

この状況から抜け出すには、転職するしかない!!

その為にいろいろと頑張って、今よりも良い条件の会社に、転職できそうだった。

不思議なことに、その頃から、パタっと永野さんからのお誘いがこなくなった。

あれだけ私に執着して、会社帰りに車に拉致られるように乗せられ、ホテルへ連れて行かれるみたいなことをしていた永野さんだったのに。

もしかしたら、彼女さんと、結婚することが決まったのかな。

それなら、それで、いいじゃないか。

こんな関係は、終わりにしたいと思っていたし、

転職するし。

もう会うこともないだろうし。

めでたし、めでたし。

と、思っていた。




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