Case 4ー2 麻子

 麻子がどんなにモテようが、別にこちらになんの害もないと思っていた。


私には入社してから、同じ部署の先輩に気になる男性社員がいた。小杉さん。

いわゆる、イケメン。

でも、イケメンに飛びつくのは危険だと言うことも学習していたから、とりあえず仕事が出来る人なのかとか、性格はどうかとかをそっと見ていた。

会社の中だけの様子では判断できないけれど、それでも人柄も良さそうだと思った。


その年の忘年会、普段会社ではプライベートな話をすることは、なかなかないから、とにかく彼女がいるのかを絶対に聞きたいと思っていた。


「小杉さん、お疲れさまです」

「あ、佐藤さん、お疲れさま。12月に入って、すごく忙しいでしょう!ここから、年末までが更に忙しくなるから、体調には気をつけてね。モリモリ食べちゃって!」

わっ!優しい。

「あの、プライベートなことで、恐縮ですが、

小杉さんて 彼女いるんですか?」

「えっ?彼女いるのかって質問を、こんな丁寧に聞かれたの初めてかも。あははっ。

まだ全然飲んでないの?」

「あ、はい。これから」

「じゃ、マジメに答えさせてもらうけど、彼女は、今はいないです。2年前に別れて、ちょっと今は仕事が恋人って感じかな。なんてね。

いい出会いがないだけなんだけどね」


これは、優良物件なんじゃないのか~!!

小杉さんにアタックしようかな。

年末は、想像以上に怒涛の忙しさだった。

年明けの会社の新年会の時に、小杉さんに告白しようか、なんて考えていた。


そんな矢先、年明けすぐに、麻子と小杉さんがつきあっているとウワサが流れた。

年末年始休みの時に、2人がデートしているところをいろんな人が目撃していた。

美男美女すぎる!!

ショックだった。

でも、私は、まだ小杉さんに告白もしていなかったし、麻子と張り合うのは無理だと思うし。

ってゆうか、車屋さんの彼氏たちはどうなったんだろう?

私は、麻子に小杉さんと、本気で つきあってるの?って言う質問も出来ないまま 不戦敗を選んだ。

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