Case 2ー1 小柳さん

 私が事務職で入った会社に、3ヶ月後くらいにパートで入ってきた小柳さん。


完全に年上っぽかったので、ふわっと聞いたからハッキリはしない。

私より5、6個 年上のようなことを聞いた。

50代前半って感じ。


小柳さんは、いつもニコニコしていて、人当たりがいい。

職場にもすぐに溶け込んだ。

のど飴 どうぞ~って、みんなに配ったり、なんてゆうのか気が利く人ってのを演出してるんだなと思った。


お昼ごはんは、ほとんどの女性社員はお弁当を持ってきて、会議で使用していないどこかの会議室で食べる。

なんとなく部署毎に、今日は第1会議室が空いてるよ~とか、今日は第2ね~とか声をかけてみんなで食べる。

そんな時も、

「いただき物でたくさんあるので、良かったら どうぞ~」

って、果物とかお菓子をみんなに配ってくれたりする。

いい人なんだけど、なんかめんどくさい人だなぁと私は思っていた。

それと、仕事が出来ない人。

おっちょこちょいなのか、不注意なのか、ありとあらゆる間違いをおかす。

それを訂正しようとして、それも間違えて、訂正の訂正をすることになったり。

事務職に必要な早さと正確さ、そのどっちもない人だ。

その仕事が出来ないことをカバーするように、お菓子を配ってご機嫌をとっているように思えた。


ある時、仕事中 上司に呼ばれて、商談室に入って行った。

15分後、ハンカチを握りしめて赤い目をして席に戻ってきた。

と思ったら、鼻をすすり上げ、泣きながらトイレに行ってしまった。


あとで聞いた話によると、いつものように小柳さんがミスをして、そのミスに気づいていたのに報告しなかったと。

それによって、取引先から苦情がきたらしい。

それは、まぁ100%小柳さんが悪いって話だよねと、みんな言っていた。


が、それで話しは、終わらず。

上司にパワハラだか、セクハラだかされたと、会社のコンプライアンス相談窓口へ相談の電話をかけてきたと。

今の会社の規定によると、パワハラ、セクハラ防止の為に、密室で上司と部下が2人で、ということが禁止されている。

本来は2対1とか、ドアを全開にしておくとか、そうゆう配慮をしなければいけなかったらしい。

だけど、上司がそうしなかったのは、みんなの前で怒るのもかわいそうだから、そっと、軽く注意したと言うくらいだったそうだ。

それなのに、事はデカい話になって、上司もコンプライアンス委員会に注意されたのだ。

恐るべし、小柳さん!!

あまり関わり合わないようにしようと思っていた。



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