第7話

 翌日。

 彼は空中に飛翔し、また都市探しに戻っていた。しかし、その姿はいつもとは変わっている。竜のような翼が生えているのだ。彼は以前と違い、翼をはためかせて空を飛んでいた。

『いや【竜翼飛行】便利すぎやろ・・・』

そう。この翼はあの倦怠感の原因、ワイバーンを倒したことによる副産物だった。そこで手に入った五つのスキルのうちの一つのうちにこの【竜翼飛行】があったのだった。

しかもこの【竜翼飛行】、空が飛べるだけではなく、【重力制御】のような魔力消費がないという超優秀スキルだったのだ。まあ、常時翼が出たままになるというデメリットもあったが。そして探すこと四時間ほど、ずっと緑ばっかりの平坦だった景観に変化ができたのだ。

「あ、あった・・・!」

ギュンッと旋回し、町の上空に浮遊した。

旧は広大な都市を見下ろしていた。ドラゴンさんに飽きるまで追いかけられ、レベルアップの倦怠感に襲われ、いろいろあった先のすぐ近くに町———それも大都市があったのだ。奇跡である。人間やケモミミの生えた獣人など、人々が集まっていた。久しぶりの人に目をキラキラさせている・・・と思いきや、頭を抱えて悩んでいる旧。ちなみにもちろん空中に浮遊したままである。

『降りたいんだけど・・・この姿じゃ無理だよなぁ・・・』

そうなのだ。なんかいかにも悪そうな角や、しっぽなど、明らかに人ではない見た目をしている。明らかに避けられる———というか、即追放級な危険感がする。

そのまま悩むこと十秒。ピコーンと旧の頭にあるスキルの存在が思い出された。

そう、【人族擬態】である。これがあればほぼ人と同じ外見になれるのだッ!

『と、いうことで、発動~!』

ついに町を発見したことでやっぱりテンションの高い旧。スキルが発動し、翼、尻尾、角が見えなくなる。

そして、数多くの戦闘で黒かった服が返り血でで赤黒く変貌していることに気づいた旧。

そそくさと着替えをはじめた。もちろん着替えは【神魔の魔導書】で出していた。コートと和服を組み合わせた感じに仕上がって、とてもウキウキしながら着替えていた。

そしてついに町へ入り、観光。今旧はこの都市にある城のようなものへ伸びる一本の大通りを歩いていた。さながら東京の繁華街のような活気にあふれている。

「お兄さん!いい武具がそろってるよ!一本どうだい?」

「ただいまより大セールを開始いたします!」

 そんな光景がいっぱい溢れていた。

『しかし・・・。人、多すぎない…?』

 まあ、そこはご愛嬌といった感じである。ほわ~と幸せに満ちて歩いていると・・・


 ドンッ!

「わ、わわわイテッ!」

何かにぶつかった。衝撃がしたほうを振り向くと、頭からイヌミミのような尻尾を生やした少女がしりもちをついていた。恐らく俺とぶつかったんだな~と、慌てて駆け寄る旧。

「すみません大丈夫ですか?」

 と声をかけると、その少女は、ピクッと耳をはねさせ、むすっと頬を膨らませると、

「痛かったっす!ちょっと詫び代わりにそこで酒一杯おごってくださいっす!」

 いきなりまくしたてながらびしっと酒場を指さした。

「ゑ・・・?」

 これにはさすがの旧もテンパっている。仕草はまあ・・・かわいいのだが、言っていることはぶつかってきて金銭を要求するヤクザ者のそれだ。

「警察行っちゃうっすよ?いいんすか~おにいさ~ん・・・」

 さすがにそれはまずい。仕方がないので払ってやろう・・・とポケットを漁るが・・・。もちろん金なんて入っているはずがない。だから、

「すみません・・・金、持ってなくて・・・」と伝えると、イヌミミ少女はおどろいたように目を見開き、

「なんと!人にぶつかっておきながら金すら用意してないとは!ほら、ギルドに言って稼ぎに行くぞ!」

 と叫び、まだ状況の呑み込めていない旧のうでをがしっととつかみ、引っ張っていった。

 もちろん旧も逃れようとするのだが、なぜかこんな時だけ発動しない旧の超人的な能力は謎なのであった。



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はい!どうも山奥の夢幻商会です!

まず!更新が長い間止まっていてすみません。。。。

これからも不定期に(一周一回ぐらいが目標です!)更新していきますので、拝読いただけると幸いです!

これからも、よろしくお願いします!

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