第6話 小学3年生 女子

 学校に行ってランドセルを開けたら、中に見たことのない黄色いノートが入っていた。表紙に『こうかんにっき』と書いてあった。交換日記って何だろう。日記なんだと思うけど、何かわからないから担任の先生に聞いてみた。先生は24歳でかわいくて、すごく優しい。


 そしたら、先生は、お友達とかと交互に日記を書いていって、毎日あったことを教え合ったりするんだよと教えてくれた。


 日記の最初にはこう書いてあった。


 1日目『交かん日記しようよ。りりちゃんのすきなものはなにかな?』

 2日目『すきなものは、シナモロールのものだよ』

 3日目『シナモロールかわいいね。どんなものをもってるの?』

 4日目『えんぴつとけしごむとふでばこ』

 5日目『こんどみせてね』

 6日目『いいよ。どこにいけばあえるの?』

 7日目『学校の地下にいるから、ほうかごに来てごらん』

 8日目『じゃあ、あしたもって行くね』


 次の日、私は普段使っているシナモロールの筆箱の他に、使わないで取ってあった消しゴムと鉛筆を持って学校に行った。授業が終わると、急いで地下に行った。普段は友達と帰っているけど、その日は黙って先に帰っちゃった。見つかったら、友達が怒るかもしれない。


 地下にはプールがある。勝手にプールに近づいちゃ駄目って言われているけど、先生に怒られたら、交換日記の人が見せてって書いてあったって言おうと思う。

 

 私が歩いていたら、後ろから口をふさがれた。

 すごく力が強かったから、振り返る余裕がなくて、そのまま後ろに引きずられて行った。

 殺されるんじゃないかと思って、すごく怖かった。


 それから、口の中に、タオルを入れられて、口を手拭いで縛られた。

 目隠しもされた。

 私は怖くて逃げられなかった。

 手も足も縛られて、そのまま寝袋みたいな袋に入れられた。

 そして、台車に乗せられて、どこかに運ばれて行った。

 その後は、車に乗せられた。

 ずっと目が覚めていたけど、息苦しかった。


 今は知らないおじさんと暮らしてる。

 おじさんは学校の用務員さんだ。

 パパとママより優しいし、シナモロールの物をいっぱい買ってくれるし、布団もシナモロールにしてくれた。


 おじさんは、私がかわいそうだったから助けてくれたって言ってた。

 私はお風呂に入ってなくて、いつも汚れた服を着てたから、目立ってたみたいだ。

それに、顔にはいつも殴られた跡があった。

 

***


 私はいつかおじさんのお嫁さんになりたい。

 おじさんはそのうち捕まっちゃうと言うけど、パパとママが疑われていて、ずっと裁判になってるみたいだ。


 私はおじさんが大好き。

 

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