第二章 雪夜に散る王
第22話
——これは、孤独な竜の『罪』の物語。
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その昔、スニェークノーチ国には『春を告げる竜』と云われる『春竜』という竜が、毎年かの国に訪れていたという伝説があった。
現代では一年中が雪の降る寒い小さな一国であるが、その竜が毎年訪れていた時代には、短い期間だけではあるが春竜が運んでくる『春』という季節が存在していたと伝えられている。
暖色の花々が咲き誇り、中でも春竜との交友の証でもある国花の『プランタン』に関しては、その美しさのあまり『春』の季節中、スニェークノーチ国では花見会が毎日のように行われるなど、祝杯が挙げられていたことは周知の話だ。
三百年前の話である。
スニェークノーチ国には珍しい国王がこの時代にいた。
その時代では各国でも珍しい取り組みであった、女帝国。国王として君臨するのは『ナーシャ』という若干十八歳の美しき姫君だ。
先代国王が五年前に流行り病によって死去したことにより後継問題が発生し、第一位継承権を保有していた彼女が国王となり、世界を震撼させたことは記憶に新しい。
それほど、この時代、女帝国という在り方をする国は珍しいとされていた。
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