初級モード 3

ノックス以外にも、「ヴァン・ダインの二十則」なんてものもあるのか!

ミステリのお約束って、たくさんあるんだな……


犯人役にプロの犯罪者を設定してはいけないということか。


ちなみに、トリックとして次の要素を選んだ場合も、ヴァン・ダインの二十則違反を理由に低得点になってしまう。


「現場に残されたタバコと同じタバコを吸っている人が犯人」

「犬が吠えなかったので、その犬がなついている人物が犯人」

「土壇場で探偵があっさり暗号を解いて真相が分かる」


こういった選択肢を選ぶと、画面に次のように表示される。


「ヴァン・ダインの二十則の1つ、『使い古された陳腐な手法を使うべきではない。』これに違反しています。」


これらが陳腐な手法なら、「つららが凶器」というのも仲間に入れてあげていいような気がする。


さて、腕利きのスナイパーを犯人にできないので、もっと別の能力に秀でている人物を犯人にしてみることにした。

提示された選択肢を見てみると、「魔法が使える」「超能力が使える」などの面白そうな項目があるではないか!

これなら密室殺人が簡単に成立しそう。


「犯人は犯行後、テレポーテーションの能力を使って部屋から出た。」

これぞ、リアルの密室殺人!

さて、点数はどうなるかな?


「ヴァン・ダインの二十則の1つ、『犯人や探偵の行動は空想科学的であってはならない。』これに違反しています。」


またしても低い点数か……

選んではいけない選択肢だったようだ。

でも、これって、ミステリだから低い点数なのであって、ファンタジーやSFなら、いい作品になるかも。


犯人や探偵が特殊能力を使えないとなると、密室殺人事件にする場合は、やはり現実的な方法で犯人が脱出するしかない。

俺は、犯行現場の本棚に「仕掛け」があって、そこに「隠し扉」があって犯人が脱出した、という構成にしてみた。

無難な感じだし、こういう密室トリックなら違反はしていないだろう、俺はそう思った。


しかし、判定は厳しかった。


「ノックスの十戒の1つ、『秘密の通路は、事件の舞台となる建物にそのような設備があってもおかしくない場合にのみ許される。』これに違反しています。」


ごくごく普通のお屋敷に、隠し通路を設定してしまったため、減点になったらしい。

からくりがあってもおかしくないような屋敷でないとダメ、ということか。

俺は「事件の舞台」の設定画面で、「ヨーロッパから移築された古い洋館」を選択してみた。これなら、隠し通路があってもおかしくないだろう。

俺は点数を見てみた。

あれれ? あまり点数が上昇しない……

画面には次のように表示されている。


「ヴァン・ダインの二十則の1つ、『謎を解く手掛かりは明白に記述されていなくてはならない。』これに違反しています。」


そうか、古い洋館というだけでは、手掛かりとして弱かったのか。

そこで、招かれた探偵たちが洋館のおかしな仕掛けに驚く、という場面を入れてみた。

こうすれば、隠し通路があってもおかしくない、と読者に手がかりを示したことになるだろう。


評価を見てみると、点数が上昇していた。

だんだん、ミステリーツクールで高得点を取る方法が分かってきた気がする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る