第4話

   

「ここにいたんだね、にゃんにゃー。さあ、一緒に天国へ行きましょう……」

 庭に埋められていた猫の死体を見つけて、幼女は成仏。

 私は動けぬまま、その一部始終を見届ける形になった。


 神様は不公平だ。

 あの幼女には移動の自由も特殊な力もあったのに、どうして私には何もないのだろう。

 地縛霊として、この土地に括り付けられてしまった。ほんの少し動く程度すら不可能だし、生者に干渉する力も与えられていない。

 だから……。


「にゃー」

 空き家となったこの場所に、今日も野良猫が入り込む。

 しかし私は「しっ、しっ」と追いやることすら出来ず、のんびりした猫たちの姿を、ただ眺めるしかないのだった。




(「幼女が探す迷い猫」完)

   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幼女が探す迷い猫 烏川 ハル @haru_karasugawa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ