1-4 R18フラグ開放
●本編「1-4-2 R18フラグ開放」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860525904739/episodes/16817139557144251359
の、改稿前バージョンがこちらです。
「よく頑張ったな、ラン」
「うん……」
汗まみれのまま俺に抱き着いて、ランは息も絶え絶えだ。はあはあと荒い呼吸に伴い、裸の胸が激しく上下している。
「痛かったか」
「うん……」
ランはまだ、それだけしか言えない。意識朦朧といった雰囲気。体からは、まだどんどん汗が湧いてくる。
「そうか。悪かったな、ラン」
汗で頬に張り付いたままの金髪を、整えてやった。
「でも……モーブは……気持ち良かったんでしょう」
「ああ。気持ち良かったぞ」
「ならいい」
俺の脇に顔をすりつけてきた。
「モーブが気持ち良ければ、私も幸せなんだ」
「ありがとうな」
俺は嘘をついた。ランがあまりに痛がり、上にずれて逃げようとするので、かわいそうになって最後まではいけなかった。何度か体を動かしただけで中断したから、俺の欲望はどこかに放置されたままだ。とにかく、信じられないくらいキツくて熱かった。それだけは確かだ。
「モーブ……好き」
キスに応えてやった。リビドーがどうとか言いだすとややこしいが、少なくとも俺は精神的には満足している。征服感……というか、ついにメインヒロインを攻略したという満足感がすごくあるし。攻略どうとかより先にそもそも、ランへの愛おしさが心からとめどなく
「おいで、マルグレーテも」
「……」
無言で、マルグレーテも抱き着いてきた。
「……なんだマルグレーテお前、泣いてるのか」
「ランちゃん……良かったわね」
マルグレーテは、俺の胸に涙を落とした。どうやら、ようやく俺と結ばれたランに、強く感情移入したらしい。
「ランちゃんは昔から、モーブのことを大好きだったんですもの……」
「ふたりとも、いい子だぞ」
「うん……」
「ええ」
「ほらラン」
またキスをする。
「モーブ……もっと……」
まだ声が震えている。
「よし」
ランが満足するまで、唇を与えてやった。それからマルグレーテにも。
「もう寝よう」
部屋のランプを消すと寝台に戻り、裸のふたりを抱き寄せた。
「明日はまた、めいっぱい遊ぶんだからな。……なんだっけ」
「名物の……鶏料理。忘れちゃ嫌だよ」
「そうそう。……ラン、食べ物のこと考えたら元気になったな」
「そう……かな」
また俺の脇に顔を埋めた。
「モーブやマルグレーテちゃんと一緒に食べるんだって、思ったから……」
「明日はゆっくり朝寝をしましょう」
俺の胸の上を、マルグレーテの指がからかうように動く。
「朝になったら、ランちゃんだって元気になる。多分……しばらくは痛みが取れないとは思うけれど。それでも三人で、たっぷり朝寝できるわ。それから散歩して遊びましょう」
「そうだな」
なにを想像したのか、幸せそうに微笑んでいる。
家の縛りから逃れられて、マルグレーテが日に日に明るくなりつつあるのは、感じている。彼女は彼女なりに人生を楽しもうと前向きになっているのかもしれないな。いろいろな意味で。
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