10 カフェで

あっという間に半年が過ぎ、中学校生活で最も忙しい学年、三年生になった。一応玲吾とは家族だが、クラス編成は今まで通り行ったみたいだ。というのも事実上の姉弟である玲吾とまた同じクラスになったのだ。

「毎日顔合わせてるけど…改めてよろしく」

なぜか居心地悪そうにして挨拶をする玲吾。なんか面白い。というか始業式の日からバリバリ授業始まってるんだけど。ありえないよ!!!受験生ってこんなもんなの?実は一応二月から塾通ってるけど、学校みたいな詰め詰め授業じゃないよ?塾はゆとりを持った授業(だと思ってる)だからね?ブツブツと呟き、前の席の玲吾の椅子を蹴る。あ、けっこう気持ちいいかも。昨日塾に間に合わなさそうで全力疾走して軽い筋肉痛になった足だからね。「やめろ」と苦情がくるけど、全部ガン無視で貫いてる。先生には見えないちょうどいい席の位置だからね。最高すぎる。いい席しか勝たん。授業に飽きてしまい、集中できなくなったから玲吾のノートを覗き込むようにして見た。

「わっ綺麗」

字を丁寧に書いている訳ではないが、上手く色分けしているからだろうか。とても見やすく、綺麗に見える。サラサラとシャーペンを動かすところも様になる。特別イケメンじゃないくせにね。…何回告白されたことあるんだろ。隠れモテタイプだろうからな、玲吾は。へんっ何でこんなこと考えてるかって、かわいいかわいい弟の恋愛事情が気になるからだからだよ!!なーんてね、(笑)

「玲吾ー?久しぶりにさ、放課後高橋THE珈琲行こっ?」

なんか一緒に行たくて、普段滅多に誘わない『放課後の予定』に誘ってみた。クラス替えもしたし他の人も、誘おっかな?

「いいね!あ、他の人誘うなよ?たまには秀吾とか冬羽とか友達も一緒じゃない『二人きり』なんてのもいいじゃん」といいニヤッと笑う姿は、艷やかで大人っぽい玲吾が垣間見えた気がした。




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