第3話
わたしはこの山と海しかない町の谷澤高校に歩いて通っている。わたしが掘り出されて一ヶ月、高校に編入して一週間、友達もできた。
始めは困ったものであった。何処から来たのと聞かれたり、なんで転校してきたのと聞かれたり。そんなわたしでも友達になった零菜は何も聞かずに受け入れてくれた。そしてわたしは自販機の前で立ち止まる。少し休憩……ではなく、零菜と自販機の前で落ち合うのであった。零菜はショートカットで身長は低め、いわゆる可愛い系である。そして一番の特徴は何故かダテメガネをしていることである。本人は頭が良く見られたいからと言うがメガネが有ると無いでも良い意味で微妙である。
「おはよう、零菜」
わたしは元気よく零菜に挨拶をする。
「うん、立華は元気そうだね」
「はいよ、バリバリ元気」
わたしはくるりと回り、ガッツポーズをする。
「立華、パンツが見えそうだよ。まだ、絶対領域だけど」
「えぇー、回転が速すぎたか」
わたしは大慌てでチェックのスカートを押さえる。そう、わたしは眠り姫の設定……イヤ、実際にコールドスリープをしていたのだから設定なんてものではない。
「わたしはおしとやかでないかな?」
わたしの問いに零菜は少し考えて答えてくれた。
「元気なのも素敵なことかな」
「うぅぅ、確かに零菜の方がおしとやかと言えるよ」
「ありがとう」
零菜は恥ずかしそうに微笑む。その姿は可愛く賢く見えた。あぁ、零菜に憧れるなやはりメガネなのか?わたしは試しに零菜のダテメガネを借りてかけてみる。今度はゆっくりとくるりと回り、零菜に感想を聞く。
「どう?」
「うん、素敵だよ」
小さく呟く零菜の言葉にまた、ガッツポーズをきめる。
しかし、ダテメガネの無い零菜も綺麗であった。
……うーん、やはり、ダテメガネは不要だ。
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