第32話 愉快なアンデッド達 その3
エルフの森ではメスガキと猫耳獣人ロゼットが森に潜むアンデットの殲滅に乗り出していた。
Side-メスガキ?
じゃないわよ、わたしの名前はね……
「……、聞いてますか? はやくしてください。時間がもったいないです」
「わ、わかったわよ。もう、なんでこんな事になってんのよ、『エクスプロージュン』!!」
私はアンデットの群れに向かって標的の対象から数十メートルにかけて大爆発が起こる火属性魔法を唱えた。
獣と魔物のアンデット達が爆発に巻き込まれて消滅していく。
片や、ロゼットは私を守るようにして、聖水がかかった刀を使ってアンデットと戦っている。時には聖なる護符が張られたクナイを投げたりして臨機応変に対応していた。
エルフの私達は聖属性だから特に気にする事は無いけど他の属性の人は不便よね。
聖属性以外の人は、聖属性が付与されたアイテムや武器を使わなければ、アンデットを完全消滅させることができない。そうしないと、アンデッドは3日後には復活してしまう。だから大変なのよね。
「アンデットがここまで、ひしめいてると思いませんでした。何者かが操っているのかもしれません。もし、何も気づかないまま、放置していたら、エルフの森に住む者達はアンデッドによって、滅ぼされていたかもしれません。考えるだけでぞっとします。私達、獣人の村の結界に支障はありませんでしたが、誰かが風魔法を使用して結界を破壊しようと企んでいたようです。結界の外には、竜巻によって身体中を切り刻まれ、消滅しかけているアンデッドが多数発見されました。不審に思った私達は、すぐに調査に乗り出したのですが、本当に理解不能でした。魔法の形跡を
「たしかにね。わたしんとこのエルフの森なんて、その前日に狼煙でもあげるかのように放火してくれちゃってるし、なんか、上位悪魔召喚の儀式の形跡があったらしいんだけど、そいつ儀式に失敗しちゃって八つ当たりでもしたんじゃないかって、もう、ほんと勘弁してほしいんだけど、でも聖なる火を使って、律儀にアンデット処理してるのが、まじ、イミフなのよね。こんなにアンデット沸かせてるのにね。ロゼット、なんだかアンデットの数が減ってない? 」
おかしい、人型のアンデッドが何かに導かれるようにゾロゾロ方向転換して村の方角へと歩いていく。こちらに残っているのは獣や魔物のアンデットだけのようね。そうだった、今、村には……
私はいつもと違って、真剣な表情をして彼の事を思い浮かべた。
そういえば、ロリカズはどうしているのかしら。彼は、もう……ダメになってしまったから、あとは勇気を出して全てを受け入れて前に出るしか……あなたの大切な村が今危険になっているのよ。このまま何もしなかったら、本当に後悔することになるのよ。この危機を救うためにも……、だけど、今の私達の言葉はきっとロリカズには届かない、……だからロリカズ………………、
あは、だめすぎ、思い出しちゃったら、ごめん、無理、あれは、ちょー、おもしろいんですけど、ぷっくすくす。
「急にナニ笑ってるんですか、流石に理解不能です。やはりネクロマンサが確実に絡んでいる可能性が高いです」
「そもそも、なんで私達だけでこのアンデットの処理をしないといけないわけよ?」
「仕方がありません。他の方は森の消化作業とアンデッドが集中しているアルフィの村が優先ですから、エルフの村一番の魔力を持つあなたが、何を考えて火炎魔法を覚えたのか分かりませんが、役割というものがあるなら、ここでの作業があなたには適任かと思います。それにあなたの魔法に巻き込まれて犠牲者がでる可能性もありますから」
「ああ、わかったわよ、もう、あんた達なんて消えちゃえ!!」
私の特大の爆裂火炎魔法がアンデットに炸裂した。
⭐︎⭐︎⭐︎
しばらく経って、
私の魔力が半分きったかも、かなりの数を殲滅したわよね。
「ロゼット、そろそろ限界よ」
「この数なら、あとは他の方と合流して対処しましょう。うんっ、そこにいるのは誰ですか?」
ロゼットが誰かの気配を感じたようだ。獣人族だけに勘と匂いが敏感らしい。確か、宿屋であいつの何かが漏れた匂いを嗅いだせいで、ロゼットが大変な事になったとか言っていたような。
光の眷属である私もあいつの匂いを直で嗅ぐと胸がドキドキして大変な事になってしまう。同じ聖属性を持つロリカズには何もなかったようだけど。
そうだ、あいつ~、ロゼットの胸ばかりガン見して、いつも電撃でも浴びたように身体を震わせて興奮していたけど、私の胸も、きっといつか成長するんだから、たぶん?
あいつは闇属性だと思うからわたしとの相性はかなり悪いはずなんだけど、でも優しく頭を撫でてくれたりして、助けてくれたり、結構優しいところもあって、まさか、ロリカズが昔話してくれた、ロミオスとジュリエントみたいな感じであいつとわたし達は属性違い同士で惹かれあって、そのまま、あんなことやこんな事したりして、ひゃぁあ。
「なにを考えてるか知れませんが、顔がニヤけてますよ? 警戒してください。嫌な匂いがします、これは敵です」
「ふん、わかったわよ」
次から次へと、本当に面倒なんだから、あいつは今何をしてるいるのかしら、たしか、グランヘイルの宿屋でニートって仕事をしてるんだっけ、仕方がないから今度遊びにいってあげようかしら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます