第31話 愉快なアンデッド達 その2

『うーん、時間切れですかね 」


 聖剣エスカーナが光の粒子の形状から元の剣へとかわりだした。


 ホーリブレイクの制限時間が切れてしまったようだ。結構な数のアンデットを殲滅したが、まだ多いな。ホーリブレイクのクールタイムまでかなり時間がある。ここからは、斬るだけの作業だ。


 あのメスガキが使う爆裂火炎魔法でもあれば楽なのだが、そういえばエルフは風魔法を得意とするんじゃなかったか、森に優しくない火炎魔法を覚えてあのエルフは何がしたかったんだ。


 そういえば、あいつの名前なんだっけ、いつも、バカバカ、近づくなやら、許さないんだからと、悪口ばかりしか、あの口からは聞いていないぞ。もうメスガキでいいな。

 

 俺にも魔法のスキルがあるにはあるが、アレを使うと村ではなく、国が吹き飛ぶらしいからな。ハリケーンアッパーでも使うか。だがあれはまだ調整すらできていないネタ技だからな、数回ほど試してみたが、大型竜巻製造機になるだけだったからな。村人達も巻き込まれて大惨事になるかもしれん。


 だが、斬っても斬ってもアンデットが減らないな。400は消したんじゃないか。


『鎧を着た骸骨さん達は元人間で結構ユニークな方達でしたけど、元魔物と獣に関しては、知力が低いので、ただ本能のまま、人間だけを襲うようです。そのせいもあって獣達は闇の眷属での上位関係が理解できないのかもしれません。竜也さん、こちらの高レベルな元商人の骸骨さん達が、仲間にしてほしそうに、カッコいいポーズ(交渉スキル)を決めて、こちらをみてますよ』


 エスカーナが何か言ってるようだが、


 まじだ、まじで、俺に向かってアンデット達がカッコいいポーズを決めて荒ぶってやがる。


 ヘ○ヘ

  |∧ ✖️4

  /


「わかった、わかった、そこまでされたら、もう俺の負けだ。仲間にしてやるから、とりあえずここにいるのは邪魔だから、あの森にでも行ってくれ」


 アンデット達がバンザイしたり、ガッツポーズして喜んでいるようだ。


『あとアンデットさん達が明確な指示をくれと言ってますよ。それとおめでとうございます。アンデットさん達は竜也さんの悪徳値に相当するクラスチェンジが可能になったので、ノーライフキング、エルダーリッチなども選択可能なようです」



 パーキングにリッチマンか、商人だけあって、お金に関するクラスのようだな。俺はあまりそういった事は詳しくないからな。その辺のことはエスカーナに任せておけばいいだろう。といことで任せた。


『わかりました、後でわたしがこのアンデッド達に教育的指導をしておきますね、えへへ』


 そもそも、天使がアンデッドを教育することは問題じゃないのか。天使と悪魔の境界線が全く分からなくなってきたぞ。


「あとはそうだな。(最近、果物を食べてなかったからな)俺への土産として新鮮な食べ頃のデザートのようなモノを探してきてくれ」


『あとは戦闘指示でしょうか。簡単なのはバンバンいこうぜ、や命を大事にとか、うーん、死んでるので意味なさそうですけど?』


「指示か、くれぐれもレディとお子様には優しくしてやれ。悪いやつにはそれ相応の報いをを与えてやれ。特に追い剥ぎや盗賊、誘拐犯どもは根絶やしにせねばならん、もちろん、金目の物はしっかり持って帰るんだぞ」


 まぁ、冗談半分で言ってはみたものの、そもそもアンデットに人間の言葉なんて通じるはずないだろう。人間の仲間になるなんて、そんな事が起こるはずが……


 な、なんだと? ゾロゾロ列を組んで元人間のアンデット達が俺の指刺した森へと向かいだしたぞ。


 俺は荒ぶるポーズをしたアンデット4匹だけに言ったつもりなのだが、これはどうしたものだ。10、20、30体、ふむ、これ以上数えないことにしよう。あの森は、今日から愉快なアンデット達が暮らす森と改名しよう。


 残りは元魔物と獣のアンデットだけのようだ。これでかなり数が減ったな。俺の計画どおりだ。


『良かったですね。これで村の人達も余裕ができそうです、えへへ』


 そして俺は、また斬りつける作業に戻った。バッティングセンターでただバットを振ってる感じだな。俺の瞳から光が消え出した。つまらんな、飽きてきた。さらに200は倒したんじゃないか。


「くっ、ころせ」


 なんか恰幅のいいおっさんが、アンデットに襲われているようだ。その台詞は姫騎士が言う台詞のはずだが、仕方ない。おもしろいやつだから、助けてやろう。


 ウルフ型のアンデットが、おっさんに飛びかかる前に何匹か斬りすてた。


「あ、あんたは? 」

「どうした、おっさん、大丈夫か」

「あ、あんたのおかげで助かったよ」

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