第四章

第18話 パーティー追放

「リュウヤ、お前をこのパーティから追放する」


「ま、まじか?」


 真の愛の勇者の俺がなぜ、追放宣言を受けているのだろうか。テンプレだと逆ではないのだろうか。イトウくん? だったか忘れたが、その追い剥ぎの装備やアイテムを売り払って大金を手にした俺は、また遊び惚けていた。


 そんな俺を見かねた宿屋の女将がこのパーティに推薦状を書いて、俺を無理やりパーティに組み込んだのだ。


 俺は自分で稼いだ金で遊んでいると言うのに、またエスカーナのヒモとして勘違いされたようだ。毎日、ばぁばぁに説教されるのにうんざりした俺は明日から働くことを決心した。


 俺は半年間、このパーティで適当に頑張って貢献したつもりなのだが、リーダとやらに追放宣言されてしまったようだ。


「なぜ、俺を追放する?」


「ロリカズに同意です」


 ネコミミ獣人ロゼットが変人でも見るかのような目線で俺を睨みつけた。


 この金髪少女、クールな性格をしたニャンコレディだ。ロリ巨乳のくせに生意気だ。だが、ネコミミとその乳に面じてまぁ、許してやろう。


『だめですよ、竜也さん、他の女性の胸を見るだなんて、わたしの胸もこれでも大きいほうなんですよ?』


 ぬおぉおおお、ビリっときた、電流はや、やめろ!!


 俺は巨乳でもロリに興味がないのは知っているだろう? いやでも、難しいところだな。あと2年、いや3年後、いやこれは十分通用するレベルではないのか。うがぁあ、やめろって、


「くっ、それで、どうして追放なんだ? また俺はどこかの熊さんでもやったのか?」


 あのクマ野郎、王都でもかなりのファンがいやがるからな。まだ生き残りがいるかもしれん。


「何を言ってるんだ? お前のせいで僕達がどんな目で見られているのか、知っているのか? それだけじゃない、確信したんだ。お前はやっぱり、あいつなんだろう。僕は知っているんだぞ」


  こいつは身の丈に合わない鎧を着ている、しかも野郎なのに赤い髪を伸ばして、女みたいな顔をした中学生のガキのような奴だ。こんな奴に罵倒されてもな。俺は大人だから、その程度では切れないぞ、まぁ、俺の獲物に手を出せば殺すがな。


「俺のせいだと?」


「あは、わかってないんですかぁ?」


 話しの最中に割って入ってきたKY(空気読めない)なロリエルフの魔術師がなんか言ってきた。大自然に祝福された緑色の髪を伸ばしているが、胸は祝福されず、まな板だ。残念なお子様エルフと言っていいだろう。ゲームやアニメに出るようなスレンダー美人なら良かったのだが、こいつはメスガキだ。あと500年、そうだな、俺は子供には優しいんだ、頭でも撫でてやろう。ほれほれ。


「いつも子供扱いするなぁ、絶対に許さないんだからぁ」


 どうせなら、バインバインのおねぇさんPTが良かったな。まさか、エスカーナ、お前。


『だって竜也さんはロリには興味がなさそうでしたから、安心して他の作業に移れますからね、えへへ』


「あなたは女将さんの言うようにお強いかと思います」


「分かってるじゃないか、子猫ちゃん」


「子猫ではありません。ワーキャットです。何度言えば分かるんですか。でもあなたを女将さんの推薦とは言えパーティに加えたことを後悔しています」


 ネコミミと尻尾がピクピク動いてる。さわらせてくれないかな。


「うん? 後悔とはどういうことだ?」


「あなたから危険なイイ匂いがします。あなたがいるとこのパーティーは」


 子猫ちゃんの話の途中で、KYのお子様エルフが横からまたまた割って入ってきた。


「わからないんですかぁ、その頭に四角い箱(ダンボール)をかぶって黒いスーツ姿はおかしいとは思わないんですかぁ? しかも武器がステッキ―とかふざけてるんですか? 頭大丈夫ですか? ばーか、ばーか、あなたなんか、しんじゃえ」


「おいおい、これのどこがおかしいんだ? どこからどうみても紳士だろが? リトルなパーティだけに、モアさんみたいにライトを武器にした方が良かったのか? 」


 エスカーナは、素敵なステッキーに擬態化している。


 このダンボールは服を脱いでパンツ一枚になれば迷彩効果があらわれて盗賊や魔物が潜伏している場所に潜入や人質を救出するのに役立ったりした。なによりダンボールにTシャツよりスーツの方がまだかっこいいだろう? それともダーク装備でもしろと言うのか。あの専用スキル使ってみたかったんだよな。


『この人達の前でダーク竜也さんになると闇の瘴気の影響で、この人達は半狂乱になるか精神が壊れるかと思いますよ? その前にスキルを放つだけで国一つが消えてしまうかもしれせんよ』


 これでもA級パーティになったんだろう。追い剥ぎ以下なのか。


『まぁ、竜也さんと私のおかげでもありますから、実際はそれほどでは』


「抜けてもいいのか? 俺は別に気にしないが?」


「女将さんに頼まれたから仕方なくいれてあげたんだ、もう僕たちに関わらないでくれ」


『うーん、たしか、この人、宿屋の女将さんの親戚筋の娘のミリカちゃんを狙っていたらしいですね』


 ミリカちゃんってたしか、今は宿屋でお手伝いをしている。


『そうそう、くまさんに襲われていた行商人の女の子ですよ。彼女は女将さんと同じ、武道家のクラスももっていますから、本当は彼女がこのパーティに修行として入る予定だったそうです。それが彼女は学園に入学する機会が回ってきたことで、迷っていたところ、かわりに無職の竜也さんが選ばれたようです。野盗や追い剥ぎの遺品を買取してくれたのもミリカちゃんのお父さんですからね。ミリカちゃんとはビジネスパートナーとしてこれからも仲良くしたいですしね。商会も今ではかなり大きくなったそうですよ。そうそう、このダンボールの素材も彼女に融通してもらったんです』


 まぁ、お前が洗脳した子の一人だしな。あの村を追われたのは熊だけのせいではなかった。俺は洗脳の話を聞いたときに気づいた。俺は妹が欲しかったな、とエスカーナに呟いたことが原因だった。エスカーナが愛の力の制御のためにエスカの村で実験を行ってみたいと言い出したのだ。俺は適当に相槌して了承してやった。すると次の日、カーナの村に異変が起こった。


 なぜか俺だけ、村娘の少女たちやミリカちゃんに、おにぃさん、お兄ちゃん、お兄様、となぜか慕われるようになった。これはこれでいいもしれんと、初めのうちは、そう思っていた。だが、所かまわず 言われたのはさすがに今思うとおかしい。アレはきっと、洗脳されていたのだろう。エスカーナの瞳のせいで。


 俺は村人たち、いや野郎どもから疑惑の目をもたれはじめた。俺が小さな女の子たちを喰いものにするロリコン野郎で、ロリハーレムのために熊殺しをしたと思われたに違いない。くそが、不名誉すぎて涙がでそうだ。


「他の二人も同意なんだな」


「ええっ、そうよ、でも、あんたが、わたしのツガイに、うんぐっ、ロゼット、なにすんのよ」


 なんとなくこのロリパーティでは俺は邪魔者というわけだったんだろう。そもそもロリに興味はないからな。


「ああ、わかった、まぁがんばれ」


 俺は追放を受け入れてこの場をあとにした。もちろん俺はいつもの宿屋に戻った。

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