第3話 ボス討伐

「十の秘剣の一つ『無限円月連斬(アルティメットムーンサルト』」


 スフィンクスのお尻の上で剣を構え、無限の輪を描くように剣で切り刻み続けた。果たして、これで、どれだけのHPを削れているのか。


「うぎゃ~~」


 スフィンクスが吠える。ダメージは確かに通っているでも、どれだけ残り体力が残っているんだ。時間内に倒せ切るのか。迷っている時間がもう残っていない。


 僕は考えを切り替えた。チマチマボスの体力を削っている時間はもうない。残りは敵の急所に最大の一撃を叩き込み、一気に押し倒すしかない。そう決めたら。手元の道具を使って牽制をした。爆竹をライターで着火し。スフィンクスの足元に全部ばらまいた。


「バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ」


 けたたましい爆裂音があたりから鳴り響く。かなりの音で煩い。スフィンクスも右と左と音のする方向を首を振って何が起きているか確かめている。


 僕はスフィンクスの背中を駆け抜けて、首元にたどり着き、横から必殺の『菊一文字一閃(きくいちもんじいっせん)』を駆け抜けた勢いと、思いっきり腰を捻って、回転の力を加えた一撃をお見舞いした。


『ごきっ』という音と主に大量の血が溢れてきた。


「ぐわぁ~~」


 また、スフィンクスが吠える。まだ、生きているのかしぶといな。次は反対側の首から横から必殺の『菊一文字一閃(きくいちもんじいっせん)』を喰らわせる。


 剣が首の骨に当たった瞬間『ポキット』言う音を発て、スフィンクスは消滅した。僕は、足場のスフィンクスがイキナリ消えたので空中に放り出されて、地面の砂に落下した。


「いててっ、ギリギリ倒すことが出来た。」


 時間はまだあるのか?ソウルデバイスを見ると時刻は『21時47分だった』。まずい、急いでドロップ品を回収して、転移ポイントを目指さないと。


 あたりを見回すと大きな魂石と、綺麗な宝石が落ちていた。二つは離れて落ちている。ボスのサイズがでかかったため、消滅後のドロップの落ちる範囲が広かったのだ。


 よっと、立ち上がって、走り出し、先に宝石を回収する。次にまた、魂石に向かって走り出すが、足場が悪いのと、全力での戦闘を何度も行っていたのもあって、疲労により、こけてしまった。後、一歩で手が届いたのに。


「くそっ、間に合ってくれよ」


 僕は、はいずりながら、魂石の方へ寄っていく。時間を見てる余裕はなく、一刻でも早く魂石を手に入れる必用があった。試しに昨日実験していたら、ドロップ品は一定時間後に消えてなくなるのだ。今日閉店して翌日の開店まではかなりの時間がある。そう考えても消滅してしまうだろう。


 今回はなんとか、倒せたからいいとして、明日も一から倒そうとすると結構大変である。それに見合う報酬があるかないかで、戦闘するかが変わってくるのだ。是非とも確定で入手できる魂石を手に入れておきたかった。


 はいずって、ようやく、魂石を手に触れた瞬間、強制転移が開始されてしまった。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 気が付いたときは、となりに外国人の男性が隣にいた。


「大丈夫ですか?疲れてたみたいですので、道具にあったポーション勝手に使わせて頂きました。」


「ありがとうございます。疲労困憊で動けなかったので助かりました。」


「お疲れの所すみませんが、もう閉店時間をとっくに過ぎておりますので、今日の所はお家でゆっくりして下さい。」


「いえいえ、こちらこそ閉店時間過ぎてまでみてもらいありがとうございます。」


 僕は装備を解除して、ダンジョンマートを後にした。結局、ドロップした魂石を手に入れることが出来たのか?綺麗な宝石は何だったのか?確認することが出来ずにいた。なんかすんごくもやもやする。


 今日は気になってなれるか心配だな。もう22時30分か。終電には間に合うけど、流石に家に帰ってもみんな寝てるな。コンビニで適当に買って済ますか?いやいや、お小遣い少ないし、また、ビービー弾を補充しないと、範囲狩り出来ないからな。地味にダンジョンの入場料の500円が効いてくるな。


 結局帰ってから用意されている食事を冷めたまま一人で食べ、そのまま布団に入って寝てしまった。どうも、ぎりぎりの精神状態でやっていたため、精神的にも相当疲れていたようである。


「うん、良く寝た。」


 窓から、陽ざしが差している。今何時だ?スマホを見ると時間は10時22分だった。やっぱい寝過ごしてしまった。今日も朝から範囲狩りをする予定だったのだ。今から出かけると、12時を超えてしまう。


「母さん。なんで起こしてくれたなかったの?」


「タケル。母さんは何度も起こしましたよ。そのたびにあなたがまだ眠い。もうちょっと。もうちょっとって言っておきなかったじゃないですか。」


「うん、全然記憶ないや。母さん起きれなくてごめんね。今日もダンジョン行ってくる。時間ないし、もう行くよ。」


「タケル、サランラップにサンドイッチをクルンであるから持って行きなさい。それと水分はちゃんとしっかり飲みなさいよ。最近テレビで熱中症で垂れている人多いっていうからあなたも気をつけなさいね。」


「は~い、母さんいつもありがとうね。僕、今はなにも稼げてないけど、もうすぐしたら、母さんに楽させてあげられるからもうちょっと待っててね。じゃ~行ってきます。」


「ええ、期待して待っているわ。いってらしゃい。タケル、気を付けるのよ。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ダンジョンマートに着くまでの間、母さんが用意してくれたサンドイッチを食べ、昨日のことをあれこれもやもやと考えていた。本来なら、この時間で今日のダンジョンの段取りを考える予定だったのが、起きるが遅かったことと、昨日のドロップ品が何だったのか気になってまともに考えられなかったんだ。


 ひとまず受付をして、ダンジョンの転送ポイントから、ダンジョン1階入り口に行った。着いたら、人気のいない場所にダッシュで移動し、システムの履歴からドロップ品の確認をした。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:12452』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 えっ、昨日はボス戦前は『10452ポイントだったから』たった2000ポイントしか増えてないのかよ。1日12時間で14000ポイント稼げるから、1時間当たり、1100ポイント稼げる計算である。それが、2時間たらず、命がけの戦闘をしていたのにたった2000ポイントって、雑魚で範囲狩りをしてた方がよっぽど上手いじゃないか。


 いやいや、まだ本名は次の綺麗な宝石だ。さっきのは確定ドロップだからそんなに報酬としては魅力的ではないだろう。ドロップしたアイテムの名前は『スフィンクスの召喚石』だった。えっ、ボスって召喚出来るのめっちゃ強いじゃん。どうしよう多分これゲキレアドロップ品だよ。いくらぐらいするんだろう?


 いや、それよりもこれの効果次第だよね。効果次第では売るよりも自分で使った方が利益がでかいかもしれないし。アイテムを開いて詳細情報を確認した。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

『スフィンクスの召喚石』

・スフィンクスのボスを討伐したものに送られる栄誉ある召喚石


【効果】

・魂石ポイント2000を消費して、スフィンクスを呼び出すことができる。

・騎乗での移動可能

・レアドロップの確立上昇

・雄たけびによる範囲への瞬間的なマヒ状態を付与


『注意』:召喚はモンスター図鑑に討伐情報が載っているかたのみできます。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 これはすごい性能である。レアドロップの確立上昇がどの程度かわからないがかなり低いハズである。それが仮に1%でも上昇したら、かなりのメリットになる。ただ、2000ポイントの消費はかなりでかい。さそり600匹分とか、ポイントでのメリットが少なすぎるぞ。


 ま~それもそうか、そもそもこのダンジョン1階は初心者用という話だし、召喚してもメリットは少ないだろう。こうなると成果を確認するためには、大阪か東京に行く必要がある。もっともダンジョンの階層が多いのは東京で現在15階層まである。金沢はオープンしてすぐのため、1階層しかないし。


 今日は範囲狩りに徹して、ポイントを貯めて、装備を買って、売却して現金を作ろう。そして、この夏を利用して、ダンジョンを徹底的に攻略してやる。



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