圧巻の戦闘シーン、豊かな人間性

 この作品の大きな魅力は、何と言っても戦闘シーンだろう。

 可憐な少女が剣を振るう。普通の人には見えない"ケモノ"から、大切な人たちを守るため──。

 ──

 主人公である可憐な少女、アルマ・フォーゲルは、幼少の頃から他の人には見えないものが見えていた。
 それが少女の戦う相手、ケモノと呼ばれるものである。それは人間から生じるものであり、彼女は心を意図的に閉ざすことで、そのケモノを異形な剣を用いた剣術、スピード、圧倒的な強さで、それを切り裂いていく。

 このアルマちゃん、とても強くて美しい。読んでいるうちに、そんな感想を抱いてしまう。

 だが彼女はただ強いだけでも、美しいだけでもない。しっかり年相応の面を見せるところがまたいい。
 例えば、稽古の最中に兄に煽られ、負けたくないと怒りをあらわにしたり、戦闘中に心を挫きかけたり、自身の主(作中で一時期女中になっている)の成長を微笑ましく眺めたり──。

 ただ強く美しい、現実離れをした少女ではない。彼女も時に喜び、悲しみ、怒る。様々な表情を読者に見せてくれる。そして魅せてくれる。
 それこそが私が彼女をつい「アルマちゃん」と呼んでしまい、私を虜にさせてしまった、彼女の魅力なのだろう。

 ──

 もちろんストーリーも申し分ない。正直読む前は、長くて全部読めるだろうか、という不安があったが、読んでしまえばあっという間だった。近々完結を予定していると聞いているため、今から続きが楽しみである。

 また、本作は「転生のおと」という作品の派生作品であるらしいため、また時間があれば、そちらもゆっくり読み進めていきたい、と強く思った。

 ぜひ色んな人に、せめて一章だけでも読んでほしい。きっとアルマちゃんの魅力が、そして本作の魅力がわかるだろう。そう思える作品だった。

 ──





【蛇足の秋野の感想】
 実を言うと強い女が大大大大好きなので、アルマちゃんドストライクでした!ありがとうございます🙏✨
 あとコメントでも言いましたが、アルマちゃん&ドロテちゃんのコンビが大好きなので、BIG LOVEを送っておきます🤟💕

その他のおすすめレビュー

秋野凛花さんの他のおすすめレビュー515