第36話 怨霊サブマリン

最初は軽い気持ちだった。

オーストラリアの岩山で出会った神霊から

「日本の潜水艦が、乗員の魂を閉じ込めたまま海底に沈んでいる。可能なら助けてやってほしい」と頼まれて、軽い気持ちでOKしたんだ。

んで、日本に帰国後、クルーザー乗り回して遊んでいるときに急に海賊王になりたくなって、海賊船が必要→私幽霊だから幽霊船だよね→幽霊船探そう→そういや成仏できてない幽霊がいる潜水艦がオーストラリアの海底にいたよね?

…ていう順序で思い出して、ハイ!今オーストラリアに来ています!


沈没位置は判明しているけど、費用的な問題でサルベージできず乗員の魂と共に海底に眠る潜水艦。

悪霊なら!私ならそこに辿りつける!

悪霊霊術!素潜り!

とりゃー!

海女ダイブ!

発見!スティールダイバー!

…そこには、今も船を守る船幽霊…英霊たちがいた。

重いよ…重い話は私のキャラじゃない。


「貴方たちの家族はもう亡くなって今は天国です。成仏をご希望でしたら、私、神様から継承した力でバシっと成仏させちゃいます。どうです?」


英霊たちの半数はそれで成仏していったが、半数は

「他にも成仏できない英霊たちがいる。助けてやりたい」

と現世に残る事を選んだので、とりあえずゴードラ組の組員として採用した。

あー、重いのは私のキャラじゃないので、明るくいきましょう!

とりあえず、沈没潜水艦を幽霊潜水艦にグレードアップして、居残った英霊たちで操船可能な仕様に調整!

艦長の少佐に、他の沈没艦捜索を全権委任。

イケオジの少佐が海軍式の敬礼で命令を受諾。

なんかすごいカッコイイんですけど。

命令する私がこんな如何わしくて胡散臭い悪霊で本当に申し訳ない。


とりあえずイケオジ少佐に丸投げして私はオーストラリアラーメンの店に急行した。

ぶっちゃけ難しい話は私には理解できない。

んで、しばらくオーストラリアで食べ歩きしていたら、スマホ霊のギーグルちゃんに幽霊潜水艦から入電。

え、潜水艦からスマホ霊に入電できるんだ。

へー、スマホ霊のギーグルちゃんと潜水艦艦長の少佐で打ち合わせ済だったんだ…君ら有能だね…まあいいや、で、何だって?

…はあ?

沈没艦を大量に発見した?

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