前世紀の亡霊👻

第35話 柊ちゃんの憂鬱・旧世紀の亡霊

悪霊界の鉄砲玉、ゴードラちゃんがクルーザーで出航して一週間。

幽霊船を探す、とか言っていたが、どうぞ好きなだけおやりなさい、としか。

で、平和な毎日が続いていたが、ついにヤツから「帰る」と連絡が。

嫌々ながら、港でお出迎えする我らゴードラ組の幹部組員。

…現れたのは、なぜか黒々とした潜水艦。

…クルーザーはどうした。

意気揚々と上陸してくるゴードラ組長。

そして、例によって何か言い出した。


ゴ「大戦中の軍艦サルベージするから、悪役令嬢借りてくね!」


は?

なにいってんだこいつ。


なんか言ってやがるが、要約するとこうだ。

①幽霊船を探したい

②沈没船を探すには潜水艦が必要だ

③こないだオーストラリアで迷子になってたとき、オーストラリア領海内で沈没した日本海軍潜水艦の話を(現地の神霊から)聞いた

④得意技である「悪霊霊術素潜りの術」で海底にダイブ

⑤沈没艦に捕らわれた英霊に出会い、解放・成仏させる

⑥成仏せず現世に残った英霊から「オーストラリア海軍の沈没艦乗員も救ってほしい」と頼まれる

⑦英語がわからないじゃん←いまココ


ゴ「悪役令嬢マリーちゃん、英語得意だよね?ちょっと来て」


あー、今までだったら私がやらされてた仕事が、悪役令嬢に振られている。

ま、私は自分の神社の復興で忙しいから。

悪役令嬢ちゃん、がんばってね。

あー、そんな助けを求めるような目で見るのやめてくれ。


ゴ「旧日本海軍の潜水艦が幽霊潜水艦として復活したから、コレに乗ってオーストラリア行くからね!」

港に停泊しているのは、旧日本海軍の潜水艦。そして、乗員である英霊たちの姿。


ゴ「少佐!コレが英語通訳の令嬢マリーちゃん。ヨロシク!」


ビシっと敬礼姿勢のイケオジ少佐?氏の亡霊と談笑するゴードラちゃん。

さあ、悪役令嬢、どうする?


悪役令嬢マリーちゃん「やだ…イケメン…」


あー、悪役令嬢はイケメンに弱い、と。

少佐以下、乗員の亡霊たちは確かにイケメン揃いだが…


ゴ「じゃ、出発するよ!早くしないと置いていくよ!ちなみにオーストラリア海軍の士官もイケメン…」


悪役令嬢「マジで?…よ、40秒で支度します!」


あー。

…アホが増えた。

アゲアゲのテンションで出航していく潜水艦。

そして私は…考えるのをやめた。


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