第12話 再起動

 ルビンが再起動した時には既にココもガリウスも居なかった。ルビンの近くに居たアリサは巻き添えを食ってしまったのか酷い火傷を負っていた。ゴローや捜索隊も大なり小なり怪我を負っているようだ。


 アリサの火傷はほっておくとやばい。ヒーリングではケロイド状に残ってしまうだろう。ルビンは分体をスライム化して火傷部分の皮膚代わりとした。


「そのスライムは治癒と鎮痛の能力がある。治るまでそのままにしておけば跡も残らないぞ。」




「くそっ。シャイナー教団の奴ら好き勝手しやがって。」

 ゴローは頭を振って立ち上がると、こちらにやってきた。


「アリサ大丈夫か?」


「ええ、少し痛みが和らいできたわ。

 それよりいきなり灼熱魔術を使うなんて、あいつら何者なの?」


「ああ、奴らはシャイナー教団。神官服の男は勇者のバックアップメンバーのチーフをやっていたらしい。勇者の遺体を掻っ攫っていった奴らだ。

 司祭服の男は面識が無い。規格外の魔術だったが何者だろうか。」


 ゴローは腹を立てていたが冷静にアリサに言った。


「我々は教団には手を出せない。違うところからアプローチするしか無いな。相手が悪い。お前は手を引くべきだ。」


「わたしは、わたしの都合があるの。勝手にさせて貰うわ。」


「そうか。その都合は教えてもらえるのかな。」


「そうね。そのうちにね。」


「そうかい。じゃあ、後で捜査本部を訪ねて来てくれないか。情報交換をしよう。」

 ゴローは部下に指示を出すとその場を立ち去った。




「さてと…。助かったわ。猫さんあなたのおかげね。あなたのことは何と呼べば良いのかしら。」


「俺様はルビン。かわい子ちゃんのピンチに颯爽と駆けつけるナイスガイさ。」

「でも、あっさりやられちゃったよね。」

「痛い所をついてくるなぁ。言い訳させて貰えるなら、俺様万全じゃ無かったからな。癒やしの子猫モードだと戦闘力がほぼ無いんだ。」



「俺様はココを助けに行かなければならない。あいつの正体が明かされると殺されてしまう。」

「ああ、それについても聞こうと思ったのよね。何で魔族が勇者の従者なんてやっていたのかしら。」

「そこら辺の詳しい経緯に関しては、俺様もわからない。

 俺様自身はルビックの中で独立した機能として存在していたが、コアは休眠状態だった。だからその頃の記憶は無い。

 ルビックのログを読み込めば分かるけどね。」


「行き先は分かるの?」

「ああ。ルビックとはリンクが繋がっているから居場所は分かる。

 ただこのまま行ってもやられる可能性が高いから、神殿に行ってフル機能で再起動しなきゃ。」

「どう言う事?」

「神殿で強くなると言うことさ。」


「ところで、一番近い神殿は何処だ。アリピュアの女神を祀ってあるところじゃ無いとダメだぞ。」


「そう、じゃあ案内してあげる。その代わりわたしもココの所に連れて行って。」


 少し離れた所で女の子がアリサを指差して、

「あのお姉ちゃん猫と喋ってる。」と言われていたのをアリサは気づかなかった。


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