第8話 ガリウス
「それで、肝心な物は回収できたのか。」
「はっ、それが我々が勇者シマムラを回収した時には既に何者かに持ち去られていました。」
「あれが世間の目に触れれば大変な事になる。第一優先で見つけ出せ。目星はついているのか。」
「勇者チームが解散した後、シマムラはココという従者を連れていたのですが、現在姿を隠しております。おそらくはこの者が持ち出したのではないかと思われます。この者についてはこの国の警察も探しております。」
「そちらの国では、警察組織を作るために軍内に専門部署を作って分離独立させようとしているのだったな。過渡期にはいくらでも付け入る隙はある。何としてもこちらが先に手に入れるのだ。」
ガリウスは本国との通信を切ると後ろに控えていた騎士に尋ねた。
「勇者の再生は可能か?」
「たとえ転換炉がまともな状態で手に入ったとしても無理ですね。ボディが耐久限界超えているし、生体側の壊死がすすんで回復不可能となっています。」
「使い物にならないか。そのまま廃棄というわけにはいかないし、葬儀を行う事にしよう。凍結して本国へ送れ。」
「しかし従者は何故自壊した転換炉を持って行ったのだろう。そもそも奴は何者だ?」
ガリウスは勇者チームのバックアップメンバーとして常に勇者に追従していた。
その時は一度も見かけなかった奴だ。大魔王を倒し、掃討戦に移行した段階で勇者を一時期見失っていた。その後監禁されていた子供を見つけたと連れてきたのがココだった。
身寄りの無いココを勇者が従者として連れ歩く事になった。勇者が我々の計画にない行動をしたのはあれが初めてだった。
勇者チームは目的を完遂したとして解散する事となった。勇者は各国に立寄り歓待を受けながら本国へ向かうことになっていた。そして最後の国で事は起こってしまった。
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