第6話 いつ帰れるのやら
「何騒いでんだよ。誰かいるのか?」
ボルグが部屋を覗くと出た時と同じく少女が無表情で座っているだけだった。
「ああ?さっきまで一言も喋らなかったのに独り言言うのか?
まあもうちょっと待ってな。今コーヒー淹れてやるから。」
ボルグがまた流しの方に去って行った。
「やべぇ。見つかるところだった。」
ルビンはまた目の前に現れた。
どうやら不可視になることが出来るみたいだ。
「じゃあ行こうか。」
ルビンは風呂敷のように広がったかと思ったらココを包み込んだ。
そこには誰かがいた痕跡は残っていなかった。
「ああ疲れたー。」
「ただいま戻りました。」
「…」
事件現場の応援に行っていた、警邏隊員が帰って来た。
「お疲れ様です。あれ、隊長は?」
「お偉いさんが来るまで帰れないんだとさ。日報だけ書いて帰っていいってさー。」
「あっ、でも不審者預かってるので交代がくるまで帰れないや。」
「へぇー。不審者ねぇ。」
エリカが扉の向こうを覗いた。
「あれ?誰も居ないよ。」
「なんだと。目を離したのは一瞬だ。そこら辺にいるはずだ。みんなも手伝ってくれ。」
そして、4人の残業時間がまた伸びたのだった。
頭から被った布が取り払われたと思ったらココは建物の外に居た。
「どうだい俺様の力は。」
「魔術…とは違う?」
「よくわかったな。俺達とここの空間を置換したのさ。仕組みを説明するのは面倒なんで、精霊魔法とでも思ってくれ。」
「という事はルビンは精霊?」
「正確には違うけど、お前らからしたらその認識でもいいかな。」
「とりあえず、移動しようぜ。」
「でもどこに行けばいいのかな。」
「起きがけで俺様腹減ってるんでメシ食いに行こうぜ。広場の方に行ったら屋台とか出てそうだぜ。」
そう言うとルビンは子猫の姿になってココの肩に乗った。
「スライムだと騒ぎになるからな。」
確かに言われるとココも空腹をおぼえたので、ココはごはんの匂いに誘われるように下町の方に歩き出した。
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